ガヘリス

ガヘリス卿（Sir Gaheris）について

ガヘリス卿はアーサー王物語において重要な役割を果たす円卓の騎士の一人です。オークニーの王ロットの息子で、アーサー王の甥にあたります。また、彼は兄ガウェイン卿と兄弟関係にあり、他にもアグラヴェイン卿、ガレス卿、そして父親が異なる弟モルドレッド卿が存在します。

概要

ガヘリスは12世紀後半に書かれたフランス詩『エレクとエニード』において、初めて名が明らかにされます。その後の作品でもたびたび取り上げられ、特に13世紀初頭の『ランスロ＝聖杯サイクル』では彼を中心とした物語が描かれています。ここでは、彼の特徴的な性格として、勇敢さや美しい容姿が強調されていますが、同時に寡黙であり、怒るとその激情は強烈であるとされています。

ガヘリスの人物像

ガヘリスは非常に尊敬され、彼の兄弟たちの中で王に相応しい人物と見なされています。しかし、彼自身は聖杯探索が終了するまでは、戴冠を拒んでいました。『散文マーリン』では、彼が最高の騎士であると評価され、ガウェインとも競う位置にいることが語られています。

物語の進行に伴い、ガヘリスは数々の冒険に参加します。特に、彼はガウェインとマーハウスを救う旅に出て、嫉妬心から襲撃を企てるアグラヴェインを打ち負かし、彼らを無事助け出しました。このように、彼は兄の冒険にもしばしば関与します。

恋愛と復讐

ガヘリスはその後、弟ガレスの妻であるリオネスの妹リネットと結婚しますが、物語は彼の復讐劇へと続きます。父王ロットを殺したペリノア王に対し、ガヘリスは復讐の一環として行動します。しかし、彼の母モルゴースとの陰惨な出来事が彼の名声を傷つけることになります。母親と恋人ラモラックとの同衾中に踏み込み、モルゴースを斬首してしまうのです。

これによって、ガヘリスはアーサー王の裁きを受け、追放されます。後に再び捕虜になるが、パラメデスに救出されて聖杯探索に参加することになります。

名前の変遷と他の物語

ガヘリスは、ベラルーシの作品『Povest' o Tryshchane』ではアーサーの息子として登場し、名前はGarnotとされています。この物語では、ガヘリスはトリスタンを攻撃するキャラクターとして描かれています。

一方で、『アーサー王の死』では、彼はより複雑な立ち位置にあります。ガウェインやランスロットとの関係が絡み合い、最終的にランスロットの手によって命を落とすことになります。彼の死はアーサー王国の衰退を引き起こし、ガウェインの激怒が新たな血の確執を生んでしまうのです。

結論

ガヘリス卿の物語は、彼の勇気と英知を基にした冒険や、兄弟との複雑な関係に彩られています。彼の行動や悲劇はアーサー王伝説の中心的なテーマの一部を形成しており、物語全体の展開に対する彼の影響を考慮すると、その存在は非常に重要であることが分かります。

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