マーリン

マーリンとは

マーリン（英語: Merlin）は、12世紀に作られた偽史『ブリタニア列王史』に登場する魔術師であり、ブリテン王ユーサー・ペンドラゴンに深く関与しています。彼はグレートブリテン島の未来を予言し、ストーンヘンジの建設にもかかわったとされています。後の文献では、彼はユーサーの子であるアーサー王の助言者としても描かれ、その影響力は多岐にわたります。

名前とその起源

マーリンの名前は、ラテン語の『ブリタニア列王史』では「アンブロシウス・メルリヌス（Ambrosius Merlinus）」として表記され、英語読みすると「アンブローズ・マーリン」となります。ウェールズ語では「マルジン・エムリス（Myrddin Emrys）」と呼ばれ、マルジンがマーリンに、エムリスがアンブローズにあたります。これらの名前は、実在の人物のストーリーに半伝説的なエッセンスを加えたものです。

出生と背景

マーリンの出生には、ウェールズ南西部の小国ダヴェドの王女が夢魔に誘惑された結果として生まれたとされる伝説があります。この夢魔は聖なる存在として扱われることもあれば、悪魔の子として描かれることもあり、異なる解釈が存在します。このような背景から、マーリンは特異な存在として認識されます。

予言の力

マーリンは、様々な予言を行ったことで知られています。特に「赤い竜」と「白い竜」の争いの話が有名で、ブリテンの未来に関する深い暗示が込められています。例えば、彼は赤い竜（ブリトン人）と白い竜（サクソン人）の戦いを予言し、それが未来の王権の正当性に影響を及ぼすと示唆しました。

ストーンヘンジの建築

マーリンはストーンヘンジの建設にも関与したとされ、その設計においてアイルランドの巨石を利用することを提案し、ユーサー王はそのアドバイスに従いました。この巨石建築は後に後世に「ストーンヘンジ」として知られることになります。

アーサー王との関係

ユーサーの王位奪還の際、マーリンは重要な役割を果たしました。ユーサーが妃イグレインと出会うために魔法を用いた出来事もあり、これが後のアーサー王の誕生につながります。マーリンはアーサー王の助言者としても知られ、彼に数々の予言を行い、王政の安定に寄与しました。

マーリンの末路

後世の物語では、マーリンは多くの女性に魅了され、湖の貴婦人ニミュエに心を奪われた結果、最終的には彼女によって生き埋めにされる運命を辿ります。この事実はマーリンの職業的存在から個人的な悲劇へと物語の焦点を移すことになりました。

影響と遺産

マーリンは、テューダー朝の初代王ヘンリー7世との関連でも重要視されています。彼は自らを「マーリン伝説の予言の子」と位置付け、これによって自身の正統性を高めました。このように、マーリンは時代を超えて影響力を持ち続ける象徴的なキャラクターとなりました。

マーリンに関する伝説や物語は、現代においても多くの作品に影響を与え続けており、その神秘的な存在感は色あせることがありません。

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