ガラホ

ガラホとは

ガラホは、スマートフォン用のOSや半導体部品を転用して開発された、日本国内向けのフィーチャーフォンの一種です。ガラパゴスケータイの進化版とも言えるこの端末は、スマートフォン並みの技術基盤を持ちながら、操作性や機能は従来のフィーチャーフォンに準じています。

技術基盤

ガラホの技術基盤はスマートフォンと共通ですが、機能仕様はガラホの想定ユーザーに合わせて調整されています。操作性も考慮されており、従来のフィーチャーフォンの延長線上にある、最低限の機能に絞り込まれている点が特徴です。「ガラケー（ガラパゴスケータイ）+スマホ（スマートフォン）」を語源としますが、ガラケー型スマホと誤解されることもあります。また、おサイフケータイやワンセグなどの日本独自の機能を搭載したスマートフォンである「ガラパゴススマートフォン（ガラスマ）」や、その中でもフィーチャーフォンに似た形状の「スマートケータイ（スマケー）」との混同も多いです。

これらの用語を区別すると以下のようになります。

ガラスマ: スマホにガラケーの機能を取り入れたもの。
スマケー: ガラスマの中でもテンキー付きで、ガラケーに似た形状のもの。
* ガラホ: ガラケーを作るにあたり、スマホの技術や部品を転用したもの。

「Androidフィーチャーフォン」という言葉は、Androidを搭載したすべてのフィーチャーフォンを指し、必ずしも日本独自の機能を含んでいるわけではありません。ガラホはその一種ですが、海外にはより基本的なデバイスも存在します。

「ガラホ」という単語はKDDIによって商標登録されており、他社製品には使えませんが、この記事では便宜上、類似端末も包括して扱います。

開発経緯

フィーチャーフォンへの根強い需要がある一方で、従来型フィーチャーフォンで使用されていた独自OSの開発停滞や、対応する半導体部品の製造終了により、新機種の開発が困難になっていました。また、3G回線の停波により、フィーチャーフォンの需要を満たせなくなる懸念もありました。

フィーチャーフォン利用者は、サービスの終了やスマートフォン向けサービスの台頭により、スマートフォンへの移行を余儀なくされる状況にありました。特にKDDIでは、3G回線の停波とBREWの開発終了が重なり、LTE対応のフィーチャーフォンが必要とされていました。

かつては、フィーチャーフォンの機能を搭載した「ガラパゴススマートフォン（ガラスマ）」が登場しましたが、その後、フィーチャーフォン型の「スマートケータイ（スマケー）」は失敗に終わりました。こうした背景から、スマートフォン技術をベースにした新型フィーチャーフォン、すなわちガラホの開発に焦点が当てられました。

需要と供給

ガラホの端緒となったのは、2015年にKDDIが発売したシャープ製の「AQUOS K SHF31」です。当初は「4G LTEケータイ」という名称で、ガラホは通称でした。KDDI社内でも扱いが分かれていましたが、最終的にフィーチャーフォンとして販売されました。

その後、他社も同様の設計の端末を発売しましたが、通称としてガラホと呼ばれることが多いです。ドコモは「spモードケータイ」、ソフトバンクは「4Gケータイ」と呼んでいます。しかし、ガラホという言葉の誤用や解釈のずれは、メーカーや報道機関の間でしばしば見られます。

料金体系と市場の動向

当初、ガラホはスマートフォン用の高額な料金プランに割引を付けた程度だったため、売れ行きは伸び悩みました。しかし、ドコモがキャップ制料金で参入すると、KDDIも対抗プランを打ち出し、ソフトバンクも追随しました。その結果、現在は音声通話専用のプランや、少量のパケット通信であれば従来型フィーチャーフォンと同程度の料金で利用できるようになっています。

これにより、ガラホは人気機種ランキングで上位に入ることもあり、従来型フィーチャーフォンのユーザーニーズを掴むことに成功しました。また、MVNOもガラホの取り扱いを開始し、ヘビーユーザー向けの選択肢も広がっています。

当初はシャープのみが製造していましたが、ドコモの参入に合わせて富士通が、ソフトバンクの参入に合わせて京セラが開発に乗り出しました。パナソニックは一時、従来型フィーチャーフォンを継続していましたが、その後ガラホの開発に参入しました。

設計・機能

現在、キャリアで発売されているガラホはすべてAndroid OSを搭載しています。フィーチャーフォンと同じ使用感にするため、テンキーを搭載し、OSも大幅に改修されています。GUIもテンキーによるショートカットが用意され、片手操作が可能です。しかし、ベースがスマートフォン用であるため、一部のスマートフォン用サイトではタッチ操作が必要になる場合があります。その対策として、テンキー部分をなぞるとタッチパッドのように機能する機種もあります。

また、バックグラウンド通信を遮断することで、バッテリーの長時間稼働を実現しています。シャープは当初、タッチパネルの搭載も検討しましたが、操作性を損なうため見送りました。富士通と京セラも同様にタッチパネルを非搭載としています。

機能面では、従来のガラケーの一部機能がスマートフォン用のものに置き換えられています。例えば、インターネットブラウザはGoogle Chromeに一本化され、Webサイトはスマートフォンとして認識されます。アプリは専用のものがキャリアやメーカーから配信されます。

スマートフォンとの違い

ガラホはスマートフォンと同じ技術を使用していますが、設計や用途が大きく異なります。例えば、Googleアカウントを本体に設定して各種サービスを連動させることはできません。アプリのインストールも、メーカーやキャリアが配信する専用アプリに限られます。

Google Playに非対応である理由は、省電力化のためのOS改修や、GMSライセンスの取得要件にタッチパネルの搭載があるためと考えられます。また、野良アプリのリスクを減らすため、インストールが制限されています。

アプリがインストールできないため、モバイルバンキングが利用できないケースもあります。しかし、その反面、セキュリティはスマートフォンより強固になるというメリットも生まれています。

ガラホと外見が似ているスマートケータイは、タッチパネルを搭載しアプリのインストールが自由でしたが、フィーチャーフォンとスマートフォンの欠点が合わさった設計だったため、短命に終わりました。ガラホは、その反省を踏まえ、片手操作にこだわり、省電力化に力を入れています。

機種一覧（Androidベース）

ガラホは、機能を絞り込んだ設計ですが、キャリアによって取り扱う端末の傾向に差異が見られます。

KDDIグループ（MNO）

KDDIでは全機種がLTEに対応しており、テザリング機能やWi-Fi機能も搭載されています。AQUOS Kシリーズは高スペックですが、GRATINA 4Gシリーズは低価格志向です。auスマートパスでは、ガラホ用アプリも配信されています。

NTTドコモ（MNO）

NTTドコモは、初期の機種ではフィーチャーフォンのOSを置き換えたような設計で、価格も手頃です。その後、法人向けにカメラレスモデルを発売し、LTE対応やWi-Fi機能搭載の端末も発表しましたが、KDDIのようなスペック重視の端末は見られません。dマーケットでのアプリ配信もありません。

ソフトバンクグループ（MNO）

ソフトバンクは、LTEやVoLTEへの対応は早かったものの、テザリングやWi-Fiには全機種が対応していません。ドコモと同じく、性能よりも価格の低さを重視する傾向にあります。シニア向けの「かんたん携帯」も提供しています。また、ガラホ用アプリの配信は行われていません。

その他（SIMフリーやMVNO）

SIMフリーやMVNOでは、一部のガラホが販売されています。

機種一覧（KaiOSベース）

2024年7月現在、MNOでの取り扱いはないものの、KDDIがKaiOS Technologiesに出資しており、今後の展開が期待されます。

まとめ

ガラホは、フィーチャーフォンの使いやすさとスマートフォンの技術を融合させた、日本独自の携帯電話です。その開発背景や特徴を理解することで、より便利に活用できるでしょう。

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