キキョウソウ

キキョウソウ（桔梗草）

キキョウソウ（学名: Triodanis perfoliata、英名: Common Venus' looking-glass）は、北アメリカおよび南アメリカを原産とするキキョウ科の一年生植物です。その自生範囲はカナダからアルゼンチンにまで及び、中国、韓国、オーストラリアといった地域にも帰化植物として分布を広げています。日本へは明治時代中期に導入され、当初は植物園で栽培されていましたが、その後、福島県以南の地域を中心に野生化し、道端や公園の空き地などで群生するようになりました。別名としてダンダンキキョウとも呼ばれ、中国語では穿葉異檐花と表記されます。

特徴

キキョウソウは、北アメリカを原産とする一年生の草本です。茎は30cmから80cmほどの高さに成長し、その表面には稜に沿って毛が見られます。葉は無柄で、互い違いに生え、心臓形の基部で茎を抱き込むように付きます。葉身は幅6mmから25mmで、縁には鈍い鋸歯が見られる貝殻のような形をしています。葉の表面は基本的に無毛ですが、下面には毛が生えており、葉の縁にもまばらに毛が生えているのが特徴です。

花期は初夏の5月から8月にかけてで、葉の付け根（葉腋）に2、3個ずつ花を付けます。花柄はほとんどありません。初期には、つぼみの状態で自家受粉を行う閉鎖花のみをつけますが、その後、通常の花も咲かせます。通常の花は車形または鐘形で、青紫色の花冠を持ちます。花冠の直径は15mmから18mmで、5つに裂けています。萼片は5個、雄蕊は5個、雌蕊は1個です。閉鎖花の場合、萼片は3個です。

果実は小さな円筒形の蒴果を多数つけます。果実の先端には萼片が残っており、熟すと中央に3つの穴が開き、子房の壁が蓋のようになって穴を覆います。種子は非常に小さく、直径はわずか0.3mmです。

アメリカ先住民族による利用

キキョウソウは、アメリカ先住民族によっても利用されてきました。例えば、チェロキー族は、過食による消化不良の治療薬として、キキョウソウの根から抽出した液体混合物を服用したり、煎じた根を入浴剤として使用したりしていました。また、メスクワキ族は、キキョウソウを一日中気分を悪くさせるための嘔吐剤として使用したり、儀式の際に喫煙したりしていました。

参考資料

長田武正『原色日本帰化植物図鑑』保育社、1976年
国立環境研究所 侵入生物DB
Jepson Manual Treatment
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