キッス・キラーズ

『キッス・キラーズ』（Killers）は、1982年にKISSが発表したコンピレーション・アルバムです。このアルバムは、全12曲のうち4曲が新曲、残りの8曲が過去のアルバムからの既発曲という構成になっています。

1980年、アルバム『仮面の正体』の売り上げが期待を下回ったことから、KISSは結成以来初めてとなる海外ツアーを中心とした活動を展開しました。しかし、1981年にリリースされた次作『〜エルダー〜 魔界大決戦』は、さらに売り上げが低迷。ツアーを行うことすらできず、テレビ出演などのプロモーション活動で何とか状況を維持しました。この年には、エース・フレーリーが実質的にバンドを脱退しています。

1982年当時、アメリカ国内でのKISSの人気は低迷していました。契約先のカサブランカ・レコードの配給元であるフォノグラム・レコードの要請により、急遽4曲の新曲をレコーディングし、企画中のベスト・アルバムに収録することが決定。外部の作曲家が共同制作者として迎えられました。ポール・スタンレーが1978年に発表したソロ・アルバムに作曲で参加したマイケル・ジャップは、スタンレーとブライアン・アダムスと共に「闇への祈り」を作曲。アダム・ミッチェルは、プロデューサーのマイケル・ジェームス・ジャクソンに起用され、スタンレーと「伝説の魔人」と「悪魔のパートナー」を共作しました。スタンレーが書き下ろした「絶体絶命」は、『〜エルダー〜 魔界大決戦』の未発表曲でした。

エース・フレーリーはアルバムのカバーに登場しているものの、制作には一切参加していません。彼の代役として、『アライヴ2』（1977年）のスタジオ録音に参加したボブ・キューリックが起用されました。キューリックは『アライヴ2』ではフレーリーのプレースタイルを模倣するように指示されていましたが、本作では彼自身のテクニックを存分に発揮しています。「絶体絶命」もキューリックを迎えて新たに録音されました。

フォノグラムは、アメリカではKISSのライブ・アルバムやベスト・ヒット・アルバムが既に出回っていると判断し、本作を海外でリリースすることを決定しました。その結果、ノルウェーで6位、オーストラリアで21位、日本で27位、スウェーデンで41位、イギリスで42位と、まずまずのチャート・アクションを記録しました。しかし、本作からシングルカットされた楽曲はいずれもチャートインには至りませんでした。アメリカでは輸入盤アルバムとして流通し、人気を博しました。

収録曲は以下の通りです。

1. 伝説の魔人 (I'm a Legend Tonight)
2. 闇への祈り (Down on Your Knees)
3. コールド・ジン (Cold Gin)
4. ラヴ・ガン (Love Gun)
5. 狂気の叫び (Shout It Out Loud (7" mix))
6. シュア・ノウ・サムシング (Sure Know Something)
7. 絶体絶命 (Nowhere to Run)
8. 悪魔のパートナー (Partners in Crime)
9. デトロイト・ロック・シティ (Detroit Rock City)
10. 雷神 (God of Thunder)
11. ラヴィン・ユー・ベイビー (I Was Made for Lovin' You)
12. ロックンロール・オールナイト（ライブ）(Rock and Roll All Nite (Live))

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