キャヴェンディッシュ家

キャヴェンディッシュ家：イギリス貴族の歴史と系譜

キャヴェンディッシュ家は、16世紀の宗教改革期に巨万の富を築き、17世紀以降に貴族に列せられたイギリスの名門です。2020年現在、世襲貴族の爵位を持つキャヴェンディッシュ家には、以下の3家があります。

デヴォンシャー公爵家（イングランド貴族）
ウォーターパーク男爵家（アイルランド貴族）
* チェシャム男爵家（グレートブリテン貴族）

また、デヴォンシャー公爵家の分流であるヒュー・キャヴェンディッシュは、1990年に一代貴族ファーネスのキャヴェンディッシュ男爵に叙位されています。かつてはニューカッスル＝アポン＝タイン公爵家という分家も存在しましたが、こちらは廃絶しています。

貴族になる前のキャヴェンディッシュ家

「キャヴェンディッシュ」という名前は、サフォークのキャヴェンディッシュという地名に由来するアングロサクソン語です。1086年のドゥームズデイ・ブックには「Kavandisc」として記録され、1242年には「Cavenedis」と記録されています。この言葉は「Cafnaの牧草地」を意味し、「Cafna」は7世紀以前の古い個人名で「大胆」を意味する「Caf」から派生した言葉、「edisc」は囲い込む牧草地を意味します。

キャヴェンディッシュ家は、ノルマン騎士ロバート・ド・ジャーノンの子孫にあたります。ロバートの息子であるグリムストン・ホールのロバート・ド・ジャーノンは、キャヴェンディッシュのジョン・ポトンの女子相続人と結婚し、キャヴェンディッシュの土地を手に入れました。その息子たちがキャヴェンディッシュの土地の名を姓とするようになったのです。

キャヴェンディッシュ家の祖であるサー・ジョン・キャヴェンディッシュ（1346頃–1381）は、リチャード2世の治世に王座部裁判所長官を務めましたが、ワット・タイラーの乱で殺害されました。その子孫のトマス・キャヴェンディッシュ（-1523）は、ヘンリー8世の時代に財務控訴裁判所のパイプ・ロール書記官を務めました。その息子ジョージ・キャヴェンディッシュ（1500–1562頃）は、枢機卿トマス・ウルジーの伝記を著しました。その弟ウィリアム・キャヴェンディッシュ（1505–1557）は、財務省官僚として修道院解散による土地没収からの横領によってキャヴェンディッシュ家に巨額の富をもたらしました。彼の3番目の妻ハードウィックのベスは、エリザベス1世時代に最も有力な人物の一人となりました。彼らは1549年にダービーシャー・チャッツワースの土地を購入し、1552年に同地にチャッツワース・ハウスを建設しました。

夫妻の長男ヘンリー・キャヴェンディッシュ（1550–1616）の子孫はウォーターパーク男爵家となり、お気に入りの次男ウィリアム・キャヴェンディッシュ（1552–1626）は、1608年にベスが死去した時にノッティンガムシャーのワークソップやオールドコーツ、チャッツワースやハードウィック・ホールといった重要な4つの邸宅を相続し、デヴォンシャー公爵家（とその分流チェシャム男爵）の祖となりました。三男チャールズ・キャヴェンディッシュ（1553頃–1617）は、ニューカッスル＝アポン＝タイン公爵家（後に廃絶）の祖となりました。

デヴォンシャー公爵キャヴェンディッシュ家

ウィリアム・キャヴェンディッシュは、1605年5月4日にイングランド貴族ハードウィックのキャヴェンディッシュ男爵、1618年8月7日にデヴォンシャー伯爵に叙位されました。その曽孫ウィリアム・キャヴェンディッシュ（1640–1707）は、名誉革命の貢献により1694年5月12日にイングランド貴族デヴォンシャー公爵とハーティントン侯爵に叙位されました。その後、分流の貴族が爵位を継承した関係で、連合王国貴族バーリントン伯爵やケイリーのキャヴェンディッシュ男爵も従属爵位に加えて2020年現在まで存続しています。チャッツワース・ハウスも所有し続けており、2020年現在の当主は第12代デヴォンシャー公爵ペリグリン・キャヴェンディッシュ（1944-）です。

ニューカッスル公爵キャヴェンディッシュ家

チャールズ・キャヴェンディッシュの子ウィリアム・キャヴェンディッシュ（1592–1676）は、1620年10月29日にイングランド貴族ノッティンガム州におけるマンスフィールドのマンスフィールド子爵、ノーサンバーランド州におけるボサルのオーグル男爵に叙位され、1628年3月7日にニューカッスル＝アポン＝タイン伯爵とダービー州におけるボルソーバーのキャヴェンディッシュ男爵、1643年10月27日にニューカッスル＝アポン＝タイン侯爵に叙位されました。王政復古後の1665年3月16日にニューカッスル＝アポン＝タイン公爵、オーグル伯爵に叙位されました。

しかし、その息子の第2代ニューカッスル＝アポン＝タイン公爵ヘンリー・キャヴェンディッシュ（1630–1691）が男子相続人なく死去したことで全爵位が廃絶しました。

ウォーターパーク男爵キャヴェンディッシュ家

ヘンリー・キャヴェンディッシュの来孫でアイルランド議会議員のヘンリー・キャヴェンディッシュ（1707–1776）は、1755年5月7日にグレートブリテン準男爵位の(ダービー州ダヴリッジの)準男爵に叙位されました。その息子の第2代準男爵サー・ヘンリー・キャヴェンディッシュ（1732–1804）の妻サラ・キャヴェンディッシュ（1740-1807）は、1792年6月15日にアイルランド貴族コーク県におけるウォーターパークのウォーターパーク女男爵に叙位されました。2020年現在まで存続しており、現在の当主は第8代ウォーターパーク男爵ロデリック・アレクサンダー・キャヴェンディッシュ（1959-）です。

チェシャム男爵キャヴェンディッシュ家

デヴォンシャー公爵家の分流にあたるチャールズ・キャヴェンディッシュ（1793–1863）は、1858年1月15日に連合王国貴族バッキンガム州におけるチェシャムのチェシャム男爵に叙位されました。2020年現在まで存続しており、現在の当主は第7代チェシャム男爵チャールズ・キャヴェンディッシュ（1974-）です。

一代貴族のキャヴェンディッシュ家

9代デヴォンシャー公ヴィクター・キャヴェンディッシュの弟の孫ヒュー・キャヴェンディッシュ（1941-）は、1990年5月17日に一代貴族ファーネスのキャヴェンディッシュ男爵に叙位されています。

もう一度検索