キリスト教民主党 (ノルウェー)

キリスト教民主党（KrF）

キリスト教民主党（KrF）は、1933年に設立されたノルウェーのキリスト教民主主義政党です。党の略称である「KrF」は、ブークモールやニーノシュクにおける表記を反映しています。特に、元首相のクェル・マニェ・ボンデヴィックが在任していた1997年から2005年の期間は、党の知名度を高める要因となりました。さらに、KrFは欧州人民党にオブザーバーとして参加し、国際的な政治活動にも関与しています。

歴史的背景

1930年代、ノルウェーでは世俗主義が広がりを見せる中、キリスト教民主党が結成されました。その目的は、物質主義的価値観に代わる文化的および精神的価値を提唱することでした。設立の直接的なきっかけは、ニルス・ラーヴィックが自由党から立候補した1933年の選挙での失敗です。この失敗を踏まえ、彼をホルダラン県の候補者とし、見事に当選を果たしました。続く1936年の選挙では、ベルゲン選挙区からも3名が当選し、党勢を伸ばしました。1945年には、ナチス占領下から解放された後の初めての選挙で8名が当選することになります。

1963年には、保守党や中央党と連携して非社会主義の連立政権に参加し、1965年の選挙で大勝したことで連立内閣を構築しました。また、1972年の国民投票では欧州共同体（EC）への加盟に反対を表明しますが、それにより反ECの保守層とともに新たな連立政府が誕生し、党初の首相を輩出しました。

その後、1981年の選挙で非社会主義政権を維持するも、中絶問題を巡る混乱があり、何度かの連立政権組織の失敗を経て、1997年には25議席を獲得するに至りました。2005年の選挙で野党に転落しましたが、2009年には総選挙で大敗。以降、党内での保守とリベラルの対立が深まりました。特に、2019年まで党の代表を務めたクヌート・アリルド・ハライデは、リベラルな方針への転換を図り、気候変動対策などの新しい政策課題を掲げました。

政治的姿勢

KrFは、安楽死や胎児診断、中絶の禁止を支持しつつ、特定の条件下（レイプや母体危険時）では中絶を許容しています。派生的には避妊の推奨を通じて中絶率の低下を促す立場を取ります。また、同性愛者に対する権利問題では、同棲は認めるものの結婚や養子縁組には反対しており、バイオテクノロジー法の緩和にも懐疑的な姿勢を持っています。

結党から現在に至るまで、党の主要な役職にはキリスト教に忠誠を誓うことが求められてきましたが、イスラム教などの他宗教の信者が増加する中、2013年には規則を改正し、宣誓を免除することを決定しました。

投票基盤

地理的には南海岸エリアで支持が強く、具体的には2005年の選挙ではヴェスト・アグデル県で18.9%と高い得票率を記録しました。しかし一方で、党のキリスト教的価値観を重視する立場が一部信者からの支持を失っている現状もあります。保守層の票が進歩党に流れているという現象も見られます。さらに、酒やポルノグラフィに対して厳格な政策を持つため、国内に少数派であるイスラム教徒からの支持も集めています。

結論

キリスト教民主党はノルウェーの政治情勢において重要な役割を果たし続けており、その歴史的背景、政治的立場、選挙基盤は党の成長と変化を象徴しています。今後も国際的な文脈での活動が期待されています。

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