キンバリー地域

キンバリー地域：オーストラリア北西部の秘境

オーストラリア大陸の北西に位置するキンバリー地域は、西オーストラリア州を構成する9つの地域区分の1つです。ティモール海とインド洋に挟まれた広大なエリアは、手つかずの自然と豊かな文化が調和する、まさに秘境と言えるでしょう。

地理と地質

キンバリー地域は、険しい山岳地帯と広大な平原が織りなすダイナミックな地形が特徴です。オード川やフィッツロイ川周辺を除き、古代から続く切り立った山々が連なり、ラテライト土壌が広く分布しています。標高1000mを超える山はありませんが、無数の岩山が複雑な地勢を作り出し、移動を困難にしています。雨季には道路が浸水し、通行不能となることも珍しくありません。

地質学的には、デボン紀に形成されたサンゴ礁が特徴的で、ネイピア山脈やニンビン山脈で見ることができます。ウィンジャナ渓谷やゲイキ渓谷など、壮大な自然景観は多くの観光客を魅了しています。キンバリー地域は、西オーストラリア楯状地の一部を成し、キングレオポルド山脈、デュラック山脈、レヴェック台地など多様な地形が含まれます。

気候

キンバリー地域の気候は熱帯モンスーン気候で、11月から4月の雨季に年間降水量の約9割が集中します。ブルーム周辺ではサイクロンが発生することもあります。年間降水量は地域によって異なり、北西部のカランブルでは1270mmに達する一方、南東部では520mm程度です。5月から10月の乾季には、南東の内陸部からの乾燥した風が吹きつけます。近年は、アジアの大気汚染の影響で年間降水量が250mm増加するなど、気候変動も顕著です。気温は非常に高く、7月でも最高気温が30℃近くに達し、雨季には40℃を超えることもあります。

植生

キンバリー地域は、ユーカリやバオバブなどの樹木が生い茂るサバナ地帯が広がっています。北部の峡谷地帯では、多量の降雨に恵まれた多雨林も存在します。この多雨林は、オーストラリアの中でも植物の多様性に富んだ貴重な地域です。

人口と歴史

キンバリー地域の人口は約38000人で、年間4.8%という高い人口増加率を示しています。人口分布は比較的均等で、ブルーム、ダービー、カナナラが主要都市です。人口の約3分の1はアボリジニです。

キンバリー地域は、約4万年前に人類が定住した歴史を持つ、オーストラリアでも最古の居住地の一つです。1879年にアレキサンダー・フォレストがヨーロッパ人として初めてこの地を訪れ、その後、牧羊業や金鉱の発見をきっかけに、ヨーロッパ人の入植が進みました。

政治と経済

キンバリー地域は、ブルーム、ダービー＝ウェストキンバリー、ホールズクリーク、ウィンダム＝イーストキンバリーの4つの地方自治体によって構成されています。

経済活動は多様で、農業、水産業、鉱業、観光業などが主要な産業です。カナナラ近郊のオード川灌漑事業による農業、アーガイル湖でのバラマンディ養殖、ブルームでの真珠養殖などが盛んです。

鉱業では、アーガイルとエレンデールのダイヤモンド鉱山が世界的に有名で、年間産出量の3分の1を供給しています。また、ブリナ油田からの原油採掘、海底ガス田の開発も重要な産業となっています。

観光業も盛んで、パーヌルル国立公園(バングル・バングル)、ギブリバーロード、アーガイル湖、エルクエストロ、ホリゾンタルフォール、ケープレヴェックなど、多くの観光スポットがあります。

文化

キンバリー地域には、古くからこの地に住むアボリジニの豊かな文化が息づいています。パディ・ベッドフォードやフレディ・ティムスなどの著名なアボリジニアーティストがおり、彼らの作品は国際的にも高く評価されています。アボリジニによって運営されるアートセンターが多数存在し、伝統的なアートが制作・販売されています。

キンバリー地域は、手つかずの自然と豊かな文化が調和した、魅力あふれる地域です。その雄大な自然と歴史、そして人々の営みは、今後も多くの観光客を魅了し続けるでしょう。

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