ギフト (テレビドラマ)

概要

『ギフト』は、1997年4月から6月にかけてフジテレビ系列で放送された連続ドラマです。主演は木村拓哉が務め、記憶喪失の青年が過去と向き合いながら、様々な人々と出会い、成長していく姿を描いています。当時の連続ドラマとしては異例の社会派サスペンスであり、恋愛ドラマ全盛の時代に異彩を放ちました。

企画段階では、飯田譲治が脚本を手がけ、『傷だらけの天使』や『探偵物語』といった1970年代の男のドラマを意識したとされています。また、放送当時は松田優作の再ブームも起きており、その影響も少なからずあったと言えるでしょう。

しかし、放送後のある事件がきっかけで、本作は長らく封印作品となってしまいました。20年近く再放送されることもなく、幻のドラマとして語り継がれてきました。しかし、2019年にBlu-rayとDVDが発売され、再び日の目を見ることとなりました。

あらすじ

物語は、代議士の岸和田が51億円を横領して失踪したことから始まります。共謀者である奈緒美は、岸和田の部屋で血まみれの意識不明の青年を発見します。青年は「早坂由紀夫」と名付けられ、記憶を失っていました。3年後、由紀夫は奈緒美のもとで「届け屋」として働き始めます。足が速く、どんな依頼も必ず届けるという執念を持つ由紀夫。しかし、その行動は過去の記憶と関係があるのでしょうか。届け屋の仕事を通して、様々な人々と出会い、記憶を取り戻していく由紀夫の姿が描かれます。

主要キャスト

早坂由紀夫: 木村拓哉
記憶喪失の届け屋。過去の記憶を失っているが、届けることには異常な執念を持つ。直情的だが繊細な心を持ち合わせている。
腰越奈緒美: 室井滋
人材派遣会社の社長。愛人の岸和田が横領した金の手がかりを掴むため、由紀夫を保護する。派手好きで、由紀夫に親近感を抱いていく。
秋山千明: 篠原涼子
由紀夫に付きまとう謎の女性。由紀夫の記憶に関する情報を奈緒美に伝えるために雇われている。自由奔放な性格だが、意外に繊細な一面も持つ。
野長瀬定幸: 今井雅之
奈緒美の部下。お調子者で、作中では度々怪我をするなど、コメディリリーフ的な役割を担う。
田村アキラ: 忌野清志郎
犯罪マニアの奇人。由紀夫の情報屋的な存在。
ジュリエット星川: 小林聡美
占い師で、奈緒美の友人。不思議な能力を持ち、由紀夫の免許証を偽造する。
朔原令子: 倍賞美津子
岸和田を追う女刑事。映画好きで、お金に目がない。物語の途中で失踪する。
筑波新次: 梶原善
朔原の部下の刑事。朔原失踪後、由紀夫たちと関わることになる。

ゲスト出演者

各話には豪華なゲスト出演者も登場し、物語を彩りました。以下は、その一部です。

第1話: 希良梨、尾藤イサオ
第2話: 赤木春恵、井川比佐志
第3話: 岸部一徳、香坂みゆき
第4話: 桃井かおり、北村総一朗
第5話: 大河内奈々子、黒沢あすか
第6話: 宇崎竜童、金田明夫
第7話: 葉月里緒菜、寺脇康文、草彅剛
第8話: 松下由樹
第9話: 藤谷美和子
第10話: 緒形拳、鈴木京香

スタッフ

脚本: 飯田譲治、井上由美子
演出: 河毛俊作、中江功、澤田鎌作
音楽: 吉俣良
主題歌: ブライアン・フェリー「TOKYO JOE」

受賞

第13回ザテレビジョンドラマアカデミー賞では、助演女優賞（室井滋）、キャスティング賞、タイトルバック賞（河毛俊作）を受賞しました。

バタフライナイフ事件との関連性

本作は、1998年に発生した「栃木女性教師刺殺事件」との関連性により、長らく封印されることになりました。犯人の少年が、劇中で主人公がバタフライナイフを振り回す姿に影響を受けたと供述したため、各メディアで報道され、再放送が中止されました。この事件は、テレビ番組の影響が社会に与える影響について、大きな議論を巻き起こしました。

エピソード

倍賞美津子が演じた朔原令子は、当初レギュラー出演の予定でしたが、病気のため4話で降板。最終回には数シーンのみ出演。
第4話で由紀夫は、「きしわだゆうじろう」という偽名を使用する。
* 長らく封印されていたが、フジテレビの特番内で断片的に劇中のシーンが紹介されたことがある。

『ギフト』は、その衝撃的な内容と、社会現象にもなった出来事から、今なお語り継がれるドラマです。再放送が困難な状況が続いていましたが、Blu-rayとDVDの発売によって、再び視聴が可能となり、その魅力を再認識する機会となりました。

もう一度検索