ギリシャ国鉄

ギリシャの鉄道網：歴史、路線、そして未来

ギリシャの鉄道は、国の発展とともにその姿を変えてきました。ここでは、ギリシャの鉄道の歴史、主要路線、近郊路線、そして観光路線について詳しく解説します。

ギリシャ国鉄（OSE）の設立と上下分離

ギリシャの鉄道インフラを保有・運営管理する国営企業がギリシャ国鉄（OSE）です。1920年に設立された旧ギリシャ国鉄を1971年に承継しました。しかし、EUの指令に基づき、鉄道事業の運営をインフラとサービスに分離する「上下分離」が行われました。その結果、ギリシャ国鉄はインフラ保有・運営管理に特化し、旅客・貨物サービスは新設されたトレノセ（TrainOSE）に移管されました。

この事業分離は2005年12月から始まり、当初はギリシャ国鉄グループの関連会社としてトレノセが運営されていました。2006年にはギリシャ国鉄から運営が独立し、2007年にはアテネ近郊鉄道を運営していたプロアスティアコス社を吸収合併しました。2008年には、ギリシャ国鉄が保有していたトレノセの株式がすべてギリシャ政府に売却され、トレノセは完全に独立しました。その後、2017年にはトレニタリアに買収され、現在は「Hellenic Train」としてブランド変更されています。

ギリシャの鉄道ネットワーク

ギリシャの鉄道ネットワークは、総延長1500km以上、1日300本以上の列車が運行されています。年間1500万人以上の旅客と450万トン以上の貨物が輸送されています。

主要路線

ギリシャの主要路線は以下の通りです。

ピレウス - アテネ - テッサロニキ：複線電化された標準軌路線で、ギリシャの主要都市を結ぶ幹線です。アテネとテッサロニキ間は約520kmで、最速5時間で結ばれています。
テッサロニキ - イドメニ：マケドニア国境のイドメニまでを結ぶ単線電化された標準軌路線です。
アテネ - ペロポネソス半島：標準軌と狭軌が混在する路線です。

近郊路線

アテネ、テッサロニキ、パトラの三大都市圏では、近郊路線が運行されており、これらはプロアスティアコスと呼ばれています。

その他の路線

テッサロニキ - エデッサ - アミンタイオ - ビトラ: 1894年開業の219kmの路線
テッサロニキ - アレクサンドルーポリ - スヴィレングラード: 1876年から1896年にかけて開業した620kmの路線で、途中でトルコのイスタンブール方面へ分岐する路線があります。
ラリッサ - ヴォロス: ラリッサからヴォロス港までを結ぶ61kmの路線です。
パレイオファルサロス - カランバカ：メテオラの最寄駅カランバカへの路線です。

観光路線

ギリシャには、観光客に人気の高い鉄道路線も存在します。

ディアコプト - カラブリタ: ラック式鉄道で、750mmゲージ、高低差700mを約1時間かけて運行します。観光客に人気です。
ヴォロス - ミリエス: 600mmゲージのペリオン鉄道で、美しい風景の中を走ります。
カタコロ - オリンピア: ピルゴスを経由してオリンピアまでを結ぶ観光路線です。古代オリンピア遺跡へのアクセスに利用されます。

ペロポネソス地方の路線

ペロポネソス地方には、メートルゲージ（軌間1000mm）の路線があります。

コリントス - アルゴス - ナフプリオ/トリポリ - カラマタ: 2009年に運転が再開されました。
カラマタ - メッシーニ: 2007年に改築され、運転が再開されました。

廃止された路線

ペロポネソス地方のメートルゲージ路線は2011年に廃止されました。また、アテネ近郊路線（プロアスティアコス）の開業に伴い、以下の路線が廃止されました。

アテネ - コリントス - キアト
キアト - パトラ
パトラ - ピルゴス
ピルゴス - キパリシア/ゼブゴラティオ

鉄道事故

2017年5月13日には、アテネ発テッサロニキ行きの急行列車が脱線し、乗客3人が死亡、運転士を含む2人が重傷を負うという事故が発生しました。

まとめ

ギリシャの鉄道は、国営から民間へと変革を遂げ、上下分離を経て、現在はHellenic Trainによって旅客・貨物輸送が行われています。主要路線や観光路線、近郊路線が整備され、多くの人々が利用していますが、事故も発生しています。今後、より安全で快適な鉄道網の構築が期待されます。

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