クサフジ

クサフジ（草藤）とは

クサフジ（学名: Vicia cracca）は、ソラマメ属に分類される多年草です。その名前は、葉と花がフジに似ていることに由来します。別名としてガーデンベッチ、ケクサフジとも呼ばれ、中国では多花野碗豆、廣布野豌豆と呼ばれています。

特徴

クサフジは、北海道から九州にかけての日本各地に分布しています。主に山地の草原や林縁など、日当たりの良い場所に自生しています。

形態:
茎はつる状で、長さは80cmから150cmほどに成長します。
茎には角があり、細かい毛が生えています。
葉は羽状複葉で、18〜24個ほどの小さな葉（小葉）と、先端が分枝した巻きひげで構成されています。
小葉は狭卵形で、長さは1cmから3cm程度です。
托葉は小さく、2つの歯がありますが、無い場合もあります。
花:
花期は5月から9月で、茎の上部の葉の付け根から花柄が伸び、淡紫色から青紫色の蝶形花が総状花序に密集して咲きます。
花の長さは10mmから12mm程度です。
萼は5つの歯を持ち、下側の1つの歯が特に長くなっています。
果実:
果実は豆果（莢）で、毛がなく、長さ2cmから3cm、幅5mmから6mmの長楕円形です。
莢の中には通常、2〜6個ほどの種子ができます。

利用

クサフジは食べられる野草の一つとして知られています。柔らかい新芽や葉を食用にすることができ、採取時期は地域によって異なります。

西日本では4月頃
関東地方では4月から5月頃
東北地方以北では4月から6月頃

調理方法としては、茹でて水にさらし、和え物やおひたし、酢の物などに利用されます。クセがないため、生のまま天ぷらやサラダの付け合わせにすることも可能です。また、花の花弁だけを摘んで軽く湯通しし、酢の物にするのも良いでしょう。

近縁種

クサフジには、いくつかの近縁種が存在します。

ヒロハクサフジ (Vicia japonica A.Gray):
三重県以東の海岸に分布します。
小葉が10〜16個でやや幅広く、小葉の側脈が横に張り出す特徴があります。
クサフジと同様に食用になります。
オオバクサフジ (Vicia pseudo-orobus Fisch. et C.A.Mey.):
小葉が4〜10個になり、楕円形の小葉の幅が15mmから30mmになります。

参考文献

長田武正『原色野草観察検索図鑑』保育社、1981年、285頁。ISBN 978-4-586-30058-7。
高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、44頁。ISBN 4-05-401881-5。
* 日野 東『日本の野草・雑草』成美堂出版、2009年、245頁。ISBN 978-4-415-01009-0。

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