クトゥルフ神話の猫

クトゥルフ神話と猫：多様な解釈と神秘的な存在

クトゥルフ神話において、猫は単なる動物以上の存在として描かれることが多くあります。その背景には、クトゥルフ神話生みの親であるH・P・ラヴクラフト自身の猫好きという一面が大きく影響しています。彼はエッセイ『猫と犬』で猫を犬より優れていると主張するほど猫を愛し、その愛情は彼の作品にも反映されています。『壁のなかの鼠』や『チャールズ・ウォードの奇怪な事件』では、猫が物語の重要な役割を担い、邪悪な気配を敏感に察知する描写が見られます。

ドリームランドと宇宙の猫

ラヴクラフトが創造した夢の次元「ドリームランド」では、猫は特別な地位を有しています。ウルタールの町では猫を殺すことを禁じる法律が存在し、猫の神殿が建てられているほどです。ランドルフ・カーターの冒険譚においては、老いた将軍猫率いる猫軍が彼を救出する場面も描かれています。

さらに、クトゥルフ神話は地球上の猫にとどまりません。土星にはアートのような異形の姿をした「土星の猫」という種族がおり、彼らは地球の猫と対立関係にあるとされています。TRPGの世界では、「天王星の猫」という種族も登場し、宇宙に広がる猫の神秘性を強調しています。

エジプト神話との接点：猫神バステト／ブバスティス

クトゥルフ神話における猫神は、エジプト神話の神バステト（ブバスティス）と関連付けられることが多いです。ブバスティスは、バステトが崇拝された都市の名前から転じた神名であり、猫の頭を持つ女性の姿で描かれます。ライオンや雌ライオンの頭を持つ神々と同一視されることもあり、時代とともに攻撃的な面から温厚な守護神へと変化していったとされています。バステトの崇拝された都市ブバスティスは、猫のミイラの主要な保管地でもありました。

クトゥルフ神話における猫神の解釈

クトゥルフ神話において、バステト／ブバスティスは、様々な解釈がなされています。ラヴクラフトは猫を称賛する際にその名を挙げ、ロバート・ブロックは邪神として描写しています。ブロックの作品では、ブバスティスは暗黒神ナイアーラトテップの勢力の一柱であり、人身御供を食らう血生臭い神として描かれています。

クトゥルフ神話TRPGでは、ブバスティスは旧神に分類されることが多く、ドリームランドとの関連性が強調されます。しかし、その位置付けは資料によって異なり、外なる神や大地の神々として分類される場合もあります。初期の神話資料では言及されていない点も特徴的です。

西洋における黒猫とクトゥルフ神話

西洋文化において黒猫は不吉の象徴とされることが多いですが、クトゥルフ神話においてもそのイメージが反映されています。ダーレスの『ピーバディ家の遺産』では、黒猫が妖術師の使い魔として登場し、『アリシア・Y』ではナイアーラトテップが人間と黒猫の姿で現れるなど、黒猫は神秘的な力を持つ存在として描かれています。

このように、クトゥルフ神話における猫は、ラヴクラフトの個人的な愛情、エジプト神話との融合、そしてTRPGにおける多様な解釈を通して、多面的な存在として捉えられています。その神秘的な魅力は、多くのファンを魅了し続けていると言えるでしょう。1000文字以上。1400文字程度

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