クリストファー・コンデント

クリストファー・コンデント（Christopher Condent, 生没年不詳）は、18世紀初頭に活動した悪名高いイギリスの海賊です。出自はイングランドのデヴォン州プリマスとされるものの、その正確な本名は定かでなく、クリストファー・コンデントのほか、コングドン、コンドン、ウィリアム、エドモンドなど、多くの異なる名前で記録に残されています。「ビリー・ワン・ハンド」という異名でも知られています。

キャリア

コンデントがいつ海での生活を始めたかは不明ですが、記録によれば、彼は当時「海賊共和国」として知られたニュープロビデンス島のナッソーで活動を開始しました。彼はチャールズ・ヴェインのような、イギリス国王ジョージ1世が海賊に対して発布した恩赦を拒否した、若く反抗的な海賊の一派でした。1718年に新たな総督ウッズ・ロジャーズがプロビデンス島に着任し、海賊掃討に乗り出すと、コンデントは島を離れることを決意しました。

海賊行為の開始

プロビデンス島を出港して間もなく、船内でインド人の船員が他の乗組員と争いになり、大量の武器と共に船倉に立てこもって船を爆破しようとする事件が発生しました。コンデントはカトラスとピストルで武装して船倉に乗り込み、激しい銃撃戦の末、腕に傷を負いながらもこの船員を制圧、殺害しました。この事件の後、一部の乗組員が殺害された船員の遺体に対し、異常な行為を行ったと伝えられています。

その後、彼らは商船を拿捕しましたが、ここで再び仲間割れが起こり、船長を含む半数の乗組員が奪った船で去って行きました。残された乗組員たちは、コンデントを新たな船長に選び、ここに海賊船長クリストファー・コンデントが誕生しました。

略奪航海

コンデント一味はヴェルデ岬方面に進路を取り、ワインを積んだ船を掠奪した後、その船を解放しました。さらに、驚くべきことに20隻もの船団を丸ごと拿捕しました。コンデントは拿捕した船の乗組員たちから、それぞれの船長の待遇について聞き取りを行い、評判の悪かった船長に対しては、鞭打ちや傷口に塩を擦り込むといった残虐な懲罰を加えました。一味は拿捕した船から新たな船員を加え戦力を増強した後、船団を解放してサンティアゴ島へ向かいました。この島で、コンデントはオランダ船を拿捕し、これを「フライング・ドラゴン号」と名付けて自らの旗艦としました。

ブラジル沿岸に進んだ一味は、スペルト船長のガレー船「ライト号」を拿捕しました。コンデントはスペルトが同郷の人物であることを知ると彼を手厚く遇し、後にオランダ東インド会社の船から奪った乗組員を与えて厚遇しました。このオランダ船は26門の砲で武装していましたが、最初の斉射で船長が戦死し、抵抗なく降伏しました。これらの船を連れてフェルディナンド島へ向かったコンデントは、スペルトを解放し、奪った物資の一部を分け与えました。また、オランダ船の乗組員たちには、自らが出港してから24時間は島に留まるよう命じ、従わない場合は全員を殺害すると脅迫したと伝えられています。

その後、海上で砲70門を備えたポルトガル軍艦と遭遇し、戦闘になりました。劣勢に追い込まれたコンデントは、フライング・ドラゴン号の快速を利用して離脱しました。また、ポルトガルの沿岸警備船を拿捕し、40人以上の乗組員を殺害しています。ブラジル沿岸での航海の最中、投獄された海賊の噂を聞いたコンデントは、捕虜としていたポルトガル人全員の耳と鼻を切り落とすという凄惨な虐待を行ったとされます。さらに、捕らえたカトリックの修道士に対しても、屈辱的な行為を強要したと伝えられています。

ギニアで多数の船を掠奪した後、コンデントはマダガスカルへ向かいました。サント・マリー島で、彼はジョン・ハルゼー船長の元部下や他の海賊たちを仲間に加えました。さらに活動範囲を東インド諸島に広げ、アンジュアン島では、後にエドワード・イングランドと激しい戦闘を繰り広げることになるジェームズ・マックラ船長の「カサンドラ号」を拿捕しています。東インド諸島で莫大な利益を得た一味は、マスカリン諸島でゴア総督のポルトガル船を拿捕し、ザンジバルまで連行しました。彼らはザンジバルにあったオランダの要塞を襲撃し、破壊と掠奪を行いました。

コンデント一味の最大の成果の一つは、1720年10月にインド沖でアラブの財宝船を捕獲したことでしょう。この時の掠奪品は、現代の価値で3億7500万ドルにも相当するとされる巨額の財宝でした。

その後と引退

巨万の富を得たコンデント一味は、サント・マリー島に戻り、そこで戦利品の分配を行いました。伝えられるところによれば、一人あたりの分け前は3000ポンド（現代の価値で約100万ドルに相当）にも上ったと言います。島に寄港したブリストル籍の船長に金を渡して協力を依頼し、マスカリン諸島の総督に恩赦を求める嘆願書を届けさせました。総督は海賊船を処分することを条件に赦免に応じると返答したため、これを受け入れたコンデントたちは、旗艦フライング・ドラゴン号を沈め、海賊団は解散しました。

多くの乗組員はそのままサント・マリー島に定住しましたが、コンデント自身はマスカリン島へ移り住み、そこで総督の義理の妹と結婚したと伝えられています。その後、彼はフランス本土の港町サン・マロに移り住み、海賊として得た財産を元手に商人として余生を送ったとされています。

海賊旗

コンデントの海賊旗については諸説あり、一般的には黒地に3つの髑髏と交差した骨の図案が伝えられていますが、これを証明する明確な情報源はないとされています。

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