クリップラー・クロスフェイス

クリップラー・クロスフェイスは、プロレスで使用される関節技の一種です。別名としてクロスフェイス、クロスフェイスロックとも呼ばれます。

概要

うつ伏せ状態の相手に対し、片腕を足で固定し、顔面を締め上げる技です。腕をロックすることで相手の動きを制限し、首関節に強烈な痛みを与えます。特に、技をかける側の手（主に左手）が相手の鼻、頬骨、人中あたりを圧迫するため、非常に苦しい体勢となります。

この技の名前は、クリス・ベノワが多用したことに由来します。ベノワのニックネーム「ザ・クリップラー」から名付けられました。日本では、開発者である永田裕志が「ナガタロックII」という名称で使用しており、こちらの方が馴染み深いという方もいるかもしれません。

主な使用者

クリップラー・クロスフェイスは、多くのプロレスラーによって使用されています。以下に主な使用者を挙げます。

クリス・ベノワ
サーシャ・バンクス - バンク・ステートメントとして使用
ハロウィン - ラ・カバラバサとして使用
永田裕志 - ナガタロックIIとして使用（開発者）
邪道 - クロスフェイス・オブ・JADOとして使用
ディック東郷
TAKAみちのく - ジャストフェイスロックとして使用
秋山準 - ナガタロックIIとして使用（永田から伝授）
カズ・ハヤシ - ナガタロックIIとして使用（永田から伝授）
シャドウWX
諸橋晴也
新納刃
谷嵜なおき
佐々木大輔
GAMI - ポキとして使用
高橋奈七永 - アルバトロスとして使用
山縣優
未来 - クロスフェイス・オブ・MIRAIとして使用
タンガ・ロア - OJK（オペレーション・邪道・キラー）として使用

派生技

クリップラー・クロスフェイスには、様々な派生技が存在します。

グラウンド・フェイスロック: 相手の腕をロックせずに、顔面のみを締め上げる技。クリップラー・クロスフェイスの原型とも言える技です。TAKAみちのくがジャスト・フェイスロックとして使用しています。
ジャスト・フェイスロック: TAKAみちのくオリジナルの技で、うつ伏せの相手の横から、体を大きく反らせて絞り上げる変形フェイスロックです。実際には顔面ではなく、顎を掴んで締め上げます。
ディック・キラー: TAKAみちのくがディック東郷戦のために開発した技で、ジャスト・フェイスロックの体勢からさらに腕を取り、締め上げを強化します。
ジャスト・フェイスロック2006: TAKAみちのくが右手の負傷中に開発した技で、クラッチの方法がスリーパーホールドに似ており、指を負傷していても使用可能です。
CBV（Cross Bone Vanguard）: YAMATOのオリジナル技で、うつ伏せの相手をサイドから片羽絞めの体勢で、片腕を巻き込んで締め上げるフェイスロックです。TAKAみちのくのジャストフェイスロックのように、相手の体を大きく反らせて極めます。
GAME OVER: KENTAのオリジナル技で、オモプラッタとフェイスロックを組み合わせた複合技です。相手の腕をオモプラッタの体勢で固定し、顔面を締め上げて上半身を反らせ、首や肩にダメージを与えます。カール・マレンコのオリジナル技であるカール・シックルとほぼ同じ形です。ダニエル・ブライアンがラーベル・ロックの名称で使用。
カール・シックル: カール・マレンコのオリジナル技で、GAME OVERと同様に、相手の腕を固定して首と肩を極めつつ、フェイスロックを仕掛けます。GAME OVERが顔面を締め上げるのに対し、カール・シックルは首から背面を反り上げることに重点を置いています。キャメルクラッチの要素も含まれます。
イリバーシブル・クライシス: MVPのオリジナル技で、V1アームロックの体勢から腕を極めつつ、フェイスロックを仕掛けます。首と腕の両方を同時に攻撃する技です。
チキンウィング・クリップラー・クロスフェイス: うつぶせの相手をサイドから片羽締めの体勢で、片腕を巻き込んで締め上げるフェイスロック。ドリュー・マッキンタイアがアイアン・メインデン、アレックス・シェリーがボーダーシティ・ストレッチ、ジョニー・ガルガノがガルガノ・エスケープ、石森太二がBone Lockの名称で使用。アレックス・シェリーは飛び付き式の腕折り技トルベジーノの体勢で移行することもある。
リング・オブ・サターン: ペリー・サターンのオリジナル技で、クリップラー・クロスフェイスとアームバーを組み合わせた複合技です。相手の腕を両足で挟み込み、首元を締め上げます。佐々木大輔がクロスオーバー・フェイスロック、PACがブルー・タライザーの名称で使用。

ナガタロック・シリーズ

永田裕志は、独自のクリップラー・クロスフェイスのバリエーションを多数開発しています。

ナガタロックIII: ナガタロックIIの体勢から、コブラツイストのように相手の上半身、首、顔面を締め上げる技です。当初はミルコ・クロコップ戦で初公開予定でしたが、実際には西村修戦で使用されました。
リバースナガタロックIII: ナガタロックIIIの体勢から、さらに横方向に回転してフォールを奪う技です。ギブアップを狙うのではなく、フォール技として使用されます。
ナガタロックIV: ナガタロックIIとほぼ同じ形ですが、腕を両足で挟むのではなく、脇固めのように片腕を極めてクロスフェイスを仕掛けます。
* ナガタロック54: 相手の腕をナガタロックIIの形で固定し、もう片方の腕をコブラクラッチで捕らえ、上体を反らせて絞り上げる技です。大谷晋二郎へのエールとして開発された技です。

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