クルト＝ハインツ・シュトルツェ

クルト＝ハインツ・シュトルツェ（Kurt-Heinz Stolze, 1926年1月26日 – 1970年8月12日）は、ドイツのハンブルク出身の音楽家で、ピアニスト、チェンバロ奏者、そして作曲家として幅広い活動を展開しました。彼の音楽キャリアは、古典音楽からバレエ音楽に至るまで、多様なジャンルに及び、その多才ぶりを示しています。

シュトルツェは、ハンブルク音楽院でヴィルヘルム・ブリュックナー＝リュッゲベルクに師事し、ピアノ、オルガン、指揮法を学びました。彼の音楽家としてのキャリアは、コペンハーゲンのロイヤル・オペラでのレペティトゥール（練習指導者）としての仕事から始まりました。1957年にはシュトゥットガルトのヴュルテンベルク州立劇場に移籍し、音楽家としての活動を本格化させました。

1957年には、テノール歌手フリッツ・ヴンダーリヒと共に、フランツ・シューベルトの歌曲集「美しき水車小屋の娘」を録音し、ピアニストとしての才能を広く知らしめました。また、チェンバロ奏者としても活動し、ギュンター・ケーアの指揮のもと、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの3台および4台のチェンバロのための協奏曲を録音するなど、バロック音楽の演奏にも深く携わりました。

シュトルツェの音楽キャリアにおいて、特に重要なのはバレエ音楽の分野での活動です。彼は特に振付家ジョン・クランコと密接に協力し、数々のバレエ作品を世に送り出しました。クランコとの協働によって生まれた作品には、『椅子取りゲーム（Wir reisen nach Jerusalem）』（1963年）、『L'Estro Armonico』（1963年、アントニオ・ヴィヴァルディ作曲）、『じゃじゃ馬ならし』（1969年、シェイクスピア原作、ドメニコ・スカルラッティ作曲）、そして『Kyrie eleison』（1968年、バッハ作曲）などがあります。これらの作品でシュトルツェは、作曲、編曲、音楽監督として重要な役割を果たしました。

中でも最も有名な作品は、1965年に初演されたバレエ『オネーギン』です。この作品は、アレクサンドル・プーシキンの小説「エヴゲーニイ・オネーギン」を基にしていますが、音楽はチャイコフスキーの同名オペラのものではなく、彼のピアノ曲集「四季」やオペラ「チェレヴィチキ」、幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」など、あまり知られていない作品を編曲して使用されました。シュトルツェは、これらの楽曲を巧みに組み合わせ、バレエのドラマを豊かに彩る音楽を作り上げました。また、クランコの『白鳥の湖』と『レ・シルフィード』の音楽も担当し、バレエ音楽の分野で独自の地位を確立しました。

1968年には、ロンドンのクイーン・エリザベス・ホールでイェルク・フェルバー指揮のヴュルテンベルク室内管弦楽団の公演にチェンバロ奏者として出演するなど、演奏家としての活動も継続しました。しかし、彼の人生は1970年8月、ミュンヘンで44歳という若さで幕を閉じました。

シュトルツェの作品は、その独創性と音楽的才能によって、今日でも高く評価されています。彼の音楽は、バレエ音楽のジャンルにおける重要な貢献として、後世に語り継がれています。

主な作品:

バレエ音楽:『オネーギン』、『椅子取りゲーム』、『L'Estro Armonico』、『じゃじゃ馬ならし』、『Kyrie eleison』、クランコ版『白鳥の湖』、『レ・シルフィード』
その他: フランツ・シューベルト「美しき水車小屋の娘」録音、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのチェンバロ協奏曲録音

出典:
John Cranko - Choreographien
Kurt-Heinz Stolze: Sa biographie

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