クレトポリスの戦い

クレトポリスの戦い

クレトポリスの戦い（Battle of Kretopolis）は、紀元前319年、ディアドコイ戦争の一環としてピシディアのクレトポリスで実施されました。この戦闘は、アンティゴノスとアルケタスという二人の指揮官の間で繰り広げられ、戦局に大きな影響を与えました。

背景

この戦いの背景には、アンティゴノスがオルキュニアの戦いでエウメネスを打ち負かし、カッパドキアのノラの砦に彼を封じ込めたことがあります。彼はこの勝利を受けて、ピシディアの地域にいるペルディッカス派のアルケタスとその義理の兄弟であるアッタロスに対し、軍を進めることを決意しました。アンティゴノスはノラからの迅速な移動を利用し、アルケタス軍の不意を突く形で防御に適した高地を占拠しました。この動きに対し、アルケタスは急いで迎撃を試みました。

戦いの様子

戦闘が始まると、アルケタスはアンティゴノス軍に対して攻撃を仕掛けましたが、結果として撃退されてしまいます。その後、反撃に転じたアンティゴノスの軍勢は、高地から一気に駆け下り、数で劣るアルケタス軍に襲い掛かりました。この突撃により、アルケタスの軍は混乱し、パニック状態に陥ります。

アンティゴノスは、その機を逃さず数にものを言わせて包囲戦を仕掛けました。彼の軍は、アルケタス軍がファランクスを形成する暇も与えず、敵の歩兵部隊を猛攻撃しました。その結果、アルケタス軍は完全に崩壊し、降伏を余儀なくされました。アルケタスの隣にいるアッタロス、ドキモス、ポレモンなどの旧ペルディッカス派の主要な将軍たちも捕らえられました。アンティゴノスは寛大な処置をもって、彼らを自身の軍に統合することを選びました。

戦後の展開

戦闘の後、アルケタスは少数の手勢と共にテルメッソスの地に逃げ込みました。そこでは、若者たちからの支持を得ることができましたが、戦争に巻き込まれるのを恐れる老人たちもいました。彼らはアルケタスをアンティゴノスに引き渡す計画を立てました。

その後、アンティゴノスが来ると、若者たちは迎撃に出向きましたが、その隙をついて老人たちがアルケタスを捕らえようとしました。アルケタスは生け捕りにされることを拒み、自ら命を絶ちました。彼の遺体はアンティゴノスによって3日間いたぶられることとなり、アンティゴノスが去った後、テルメッソスの若者たちが葬儀を行い、埋葬しました。

参考文献

• - 市川定春、『古代ギリシア人の戦争　会戦辞典　800BC-200BC』、新紀元社、2003年
• - ディオドロスの『歴史叢書』の英訳

この戦いはディアドコイ戦争の中で重要な役割を果たし、当時の権力構造に影響を与えました。

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