クロアジサシ

クロアジサシについて

クロアジサシ（学名：Anous stolidus）は、チドリ目のカモメ科に属する鳥で、その名の通りの黒褐色の羽毛が特徴的です。この鳥は体長40〜45cm、翼を広げた時には75〜86cmに達し、ハトよりも大きめのサイズを持っています。目の周りに白いアイリングがあり、後頭部は灰褐色ですが、全身は主に黒褐色の羽毛に覆われています。アジサシ類の中でも特に個性的な外見をしており、艶のないビロードのような質感があります。また、尾羽は燕尾型ではなく、先端がわずかに二つに分かれた紡錘形をしています。幼鳥は頭部の大部分が褐色で、成鳥とは見た目が異なります。

分布

クロアジサシは、熱帯や亜熱帯の島々を拠点に繁殖しています。具体的には、太平洋、インド洋、大西洋の多くの島で見られます。日本においては、夏に先島諸島や小笠原諸島、火山列島で繁殖のために渡来するが、北の地域ではほとんど見られません。特に、台風の影響で迷行した個体については、北海道や九州、伊豆諸島での記録があります。

生態

繁殖地は洋上の島で、他のアジサシ類（ハイイロアジサシやシロアジサシ、セグロアジサシなど）と一緒に繁殖します。これらの鳥は岩場や草原に集まり、種類ごとに固まったコロニーを作ります。オスとメスの求愛時には、首を上下させる動作が見られ、この瞬間が英語の名前「Noddy」と結びついていることが示されています。

求愛行動の後、彼らは枯れ草や木の枝を組み合わせ地上に巣を作り、時には木の上に巣を構えることもあります。通常、卵は一個だけで、巣立ちまでには2～3ヶ月を要します。また、鳴き声は「アッ アッ アッ」や「クワー」といった音で知られています。

近縁種

クロアジサシの近縁種には、ヒメクロアジサシ（A. minutus）があります。これは体長が約35cmとクロアジサシより若干小さく、羽毛はさらに黒みが強いです。彼らも同様の分布範囲を持ちますが、インド洋には分布していません。もう一つの近縁種は、インドヒメクロアジサシ（A. tenuirostris）であり、アフリカ東岸からオーストラリアまでのインド洋エリアに分布しています。

参考文献

• - 『日本の鳥 550 水辺の鳥』、文一総合出版
• - 真木広造他 『日本の野鳥590』 平凡社

関連項目

• - 日本の野鳥一覧

クロアジサシはその独特な姿と行動から、観察者にとって魅力的な存在です。その生態や繁殖行動を知ることで、より深くこの鳥について理解することができるでしょう。

もう一度検索