クロード (ギーズ公)

クロード・ド・ロレーヌ：ギーズ公として生きた武人

クロード・ド・ロレーヌ（1496年 - 1550年）は、ロレーヌ公ルネ2世の次男として生まれ、フランスの歴史に名を刻んだ人物です。彼はギーズ伯（1508年 - 1528年）を経て、初代ギーズ公（1528年 - 1550年）となり、オマール伯（1508年 - 1547年）、ジョアンヴィル領主（1508年 - 1550年）も兼ねました。

生涯

フランス王フランソワ1世の宮廷で教育を受けたクロードは、17歳でヴァンドーム伯フランソワの娘アントワネットと結婚し、フランス王室との同盟を深めます。この結婚は、後のフランス王アンリ4世の血筋にも繋がります。

軍事面での活躍も目覚ましく、1515年のマリニャーノの戦いでは、22もの傷を負いながらも勇敢に戦いました。1521年には、オンダリビアの戦いに参加し、その奪取に貢献。フランソワ1世の母ルイーズからも賞賛を受けました。1523年には、神聖ローマ皇帝カール5世の軍隊をヌフシャトーで打ち破り、その地の統治者に任命されるなど、数々の武功を挙げました。1525年には、ロレーヌで発生した再洗礼派の農民戦争を鎮圧しています。

1528年、フランソワ1世がカール5世の捕虜から解放され帰国すると、クロードはギーズ公に叙爵され、フランス貴族の仲間入りを果たします。当時、公爵位を持つフランス貴族は王家の出身者に限られていたため、これは異例の出来事でした。ギーズ家は、ロレーヌ公の分家でありながら、ヴァロワ＝アンジュー家の血を引くとして、ブルボン家出身のコンデ公やコンティ公よりも優位であると主張しました。

フランソワ1世は、ギーズ家の野心的な要求に不快感を示しつつも、その功績を認め、土地や資金を豊富に与えました。クロードは1542年のルクセンブルク侵攻でも活躍しましたが、晩年は子供達に活躍の場を譲り、静かに過ごしました。1550年、病に倒れたクロードは、5人の医師による治療も虚しく、4月12日にこの世を去りました。

家族

1513年6月9日、アントワネットとの結婚により、多くの子女に恵まれました。

マリー：ロングヴィル公ルイ2世・ドルレアンと結婚後、スコットランド王ジェームズ5世と再婚。
フランソワ：ギーズ公を継承。
ルイーズ：アールスコート公シャルル2世・ド・クロイと結婚。
ルネ：ランスの聖ペテロ修道院長。
シャルル：ランス大司教、ロレーヌ枢機卿。
クロード：オマール公。
ルイ：ギーズ枢機卿。
フィリップ：夭折。
ピエール：夭折。
アントワネット：ファルムティエ修道院長。
フランソワ：聖ヨハネ騎士団総長。
ルネ：エルブフ侯。

また、愛妾との間にも1男をもうけています。

クロード・ド・ロレーヌは、その軍事的な才能と政治的な手腕によって、ギーズ家をフランスの有力貴族へと押し上げました。彼の生涯は、当時のヨーロッパの政治情勢と深く結びついており、フランス史を語る上で欠かせない人物の一人と言えるでしょう。

参考文献

Asch, Ronald G. (2016). “The Newcomer's Dilemma: Henry IV of France and James I of England”. Dynastic Identity in Early Modern Europe: Rulers, Aristocrats and the Formation of Identities. Routledge
Barbier, Jean Paul (2002) (French). Ma bibliothèque Poétique. Librairie Droz S.A.
Bell, Susan G. (2004). The Lost Tapestries of the City of Ladies. University of California Press
Carroll, Stuart (2009). Martyrs and Murderers: The Guise Family and the Making of Europe. Oxford University Press
Hillerbrand, Hans Joachim, ed. (1996). "House of Lorraine-Guise". The Oxford Encyclopedia of the Reformation. Vol. 2. Oxford University Press.
Spangler, Jonathan (2009). The Society of Princes: The Lorraine-Guise and the Conservation of Power and Wealth in Seventeenth-Century France. Ashgate Publishing Limited
* Wellman, Kathleen (2013). Queens and Mistresses of Renaissance France. Yale University Press

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