グゼリアン

グゼリアン（Gzhelian）について

グゼリアンは、国際層序委員会によって定義された地質学用語であり、地質時代名の一つです。この時期は、約3億370万年前から2億9890万年前に当たり、石炭紀ペンシルバニアン亜紀の後期に位置しています。グゼリアンの前にはカシモビアンという前期が存在し、その後にはアッセリアンという前期ペルム紀の最初の期が続きます。模式地はロシアのモスクワ郊外に所在し、グーゼリアンという別名でも知られています。

命名と定義

グゼリアンの始まりは、フズリナ目のダイクシナやジングリテス、ルゴソフズリナの初出現、あるいはコノドントの一種であるStreptognathodus zethusの登場によって定義されています。逆に、グゼリアン階の最上部、すなわちペルム系の開始は、コノドントのStreptognathodus isolatusの初出現によって決定されます。しかし、2020年4月の時点では、グゼリアンの国際的な標準模式層断面（GSSP）はまだ確定していません。候補地としては、ロシアのバシコルトスタン共和国のステルリタマク近郊にあるKrasnoussolsky村の周辺を流れるウソルカ川沿いが挙げられています。

環境

グゼリアンの時期はペルム紀の前期2番目の期であるサクマーリアンと重なり、この期間中にゴンドワナ大陸が広範囲にわたって氷床に覆われていました。日本の山口県に存在する秋吉帯の石灰岩層には、当時の環境変化が示されており、低緯度に生息していた海綿動物が減少し、高緯度のPalaeoapysinaが増加する様子が記録されています。この頃の造礁生物である普通海綿綱のchaetetidsは、後期石炭紀後期から前期ペルム紀にかけてはほとんど確認されておらず、造礁生物群集は気候変動による影響を大きく受けていたと考えられています。また、秋吉帯の石灰岩からは、P2O5の含有量が比較的少ないことが示されており、グゼリアンの環境は前期ペンシルバニアン亜紀（バシキーリアン）や中期（モスコビアン）に比べて栄養が豊富ではなかったとされています。

日本におけるグゼリアン

日本国内では、山口県美祢市に位置する秋吉帯の秋吉石灰岩から、グゼリアン階やアッセリアン階に属する層が確認されます。この地域では、背礁側ではあまり化石は見られないものの、礁の中核部分からは多くの外肛動物の化石が発見されています。また、同じく秋吉帯に存在する帝釈石灰岩からは、宇山野累層内のTriticites contractus帯（上部グゼリアン階 – 下部アッセリアン階）で、4属のアンモナイトが記載されています。グゼリアン階から産出することが知られている属には、ShumarditesとVidriocerasの2つがあります。

このように、グゼリアンは重要な地質時代を形成するものであり、当時の環境や生物の多様性を解明するための重要な手がかりを提供しています。

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