グナエウス・コルネリウス・レントゥルス・マルケッリヌス

グナエウス・コルネリウス・レントゥルス・マルケッリヌスは、紀元前1世紀の共和政ローマで活躍した政治家であり、軍人でもありました。紀元前56年には執政官（コンスル）というローマ最高の役職を務めています。彼の生涯を辿りながら、当時のローマ社会における彼の役割と影響を見ていきましょう。

出自と家族

マルケッリヌスの家系は、マルクス・クラウディウス・マルケッルスを祖父に持ちます。彼は同盟市戦争で功績を挙げた人物です。その次男はコルネリウス氏族レントゥルス家に養子に入り、プブリウス・コルネリウス・レントゥルス・マルケッリヌスと名乗りました。しかし、彼は平民の身分のままで、政治家としては造幣官に留まりました。

プブリウスの妻はコルネリアで、彼女はプブリウス・コルネリウス・スキピオ・ナシカ・セラピオの娘であり、さらに遡るとスキピオ・アフリカヌスの血を引く名門の出身でした。プブリウスとコルネリアの間には二人の息子がおり、兄プブリウスは紀元前74年に法務官を務めています。グナエウスは、この兄弟の次男として生まれました。

政治家としての経歴

マルケッリヌスは紀元前105年頃に生まれ、紀元前84年頃に造幣三人官として政界に入りました。その後、紀元前74年には財務官に就任し、再び貨幣鋳造を担当しました。彼は第二次ポエニ戦争で活躍したマルクス・クラウディウス・マルケッルスの子孫であったため、シキリア属州の人々からパトロヌス（保護者）として見なされていました。紀元前70年に前シキリア総督ガイウス・ウェッレスが不正行為で訴えられた際には、原告側を支援しました。

紀元前67年には、ポンペイウスの副司令官として地中海の海賊討伐作戦に参加し、アフリカ沿岸の海賊を掃討する功績を挙げました。キュレネの市民は彼に感謝し、アポロン神殿に彼の像を建てました。紀元前61年には、プブリウス・クロディウス・プルケルをボナ・デアの祭儀における冒涜行為で告訴しました。紀元前60年には法務官に就任しています。

法務官の任期後、紀元前59年から紀元前58年までシリア属州総督を務め、アラブ人の攻撃から属州を防衛しました。ローマに戻ると執政官選挙に立候補し、紀元前56年に執政官に選出されました。同僚執政官は、シリア総督時代の前任者であったルキウス・マルキウス・ピリップスでした。

三頭政治との対立

マルケッリヌスは、当時の有力者であったポンペイウス、クラッスス、カエサルの三頭政治と対立しました。彼は、三頭政治の傀儡であるプブリウス・クロディウス・プルケルを批判し、クロディウスによって破壊されたキケロの邸宅をキケロに返還するよう提案しました。この法案は承認されましたが、護民官の拒否権によって阻止されました。

また、マルケッリヌスは、ローマに亡命していたエジプト王プトレマイオス12世の処遇を巡る議論にも積極的に参加しました。三頭政治がポンペイウスを軍とともにエジプトに派遣してプトレマイオス12世を復位させることを提案したのに対し、マルケッリヌスは外交的な解決を主張し、ポンペイウスに対抗しました。その後、彼はポンペイウスとクラッススが執政官に立候補した際にも公然と抗議しましたが、結果は変わりませんでした。

その後と家族

執政官の任期を終えた後のマルケッリヌスに関する記録は残っていません。三頭政治との政争に敗れて政界から引退したか、任期満了直後に死去した可能性があります。キケロの書簡から、彼が神祇官（ポンティフェクス）の一員であったことがわかっています。

歴史家は、紀元前48年の財務官プブリウス・コルネリウス・マルケッリヌスを彼の息子であると考えています。また、アウグストゥスの妻スクリボニアの最初の夫がマルケッリヌスであったとする説もありますが、異論もあります。

知的活動

キケロは、マルケッリヌスをクィントゥス・ホルテンシウス・ホルタルスと並ぶ弁論家として評価しています。キケロによれば、マルケッリヌスは雄弁で、思考が早く、語彙が豊富で、声が良く、機知に富んでいたとされています。

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