グリーンウッド (ミシシッピ州)

グリーンウッドは、アメリカ合衆国ミシシッピ州に位置する都市で、レフロア郡の郡庁所在地です。2020年の国勢調査によると、人口は約1万4千人です。この都市は、州都ジャクソンの北約154キロメートル、テネシー州メンフィスからは南に約210キロメートルの場所にあります。

地理と歴史

グリーンウッドは、タラハチー川とヤロブシャ川が合流してヤズー川となる地点に位置しています。この地域は、かつてチョクトー族やチカソー族の領土でした。19世紀初頭、これらの部族はアメリカ政府との条約により土地を譲渡し、その結果、ヨーロッパ系アメリカ人の入植が始まりました。1834年には交易拠点が設けられ、1844年にはグリーンウッドとして法人化されました。この都市の名前は、チョクトー族の酋長グリーンウッド・レフロアに由来しています。

グリーンウッドの発展は、綿花栽培に大きく依存していました。19世紀には、ミシシッピ・デルタの中心地として綿花プランテーションが広がり、奴隷労働によって繁栄しました。綿花は、ニューオーリンズ、ヴィックスバーグ、メンフィスなどの主要市場に出荷され、その過程で、多くの奴隷がアッパー・サウスから連れてこられました。南北戦争後、労働市場は自由労働者に変わりましたが、鉄道の開通により再び綿花の主要な出荷地として復活しました。しかし、20世紀初頭にはワタミゾウムシの蔓延により、綿花生産は大きな打撃を受けました。その後、地域はトウモロコシや大豆などの換金作物へと転換しました。

公民権運動

1960年代、グリーンウッドは公民権運動の重要な舞台となりました。アフリカ系アメリカ人は人種差別撤廃と投票権を求めて闘い、学生非暴力協調委員会（SNCC）などの団体が活動しました。公民権運動家は、警察や白人による暴力や経済的報復に直面しましたが、カトリックの平和組織パックス・クリスティの支援を受け、経済ボイコットなどの活動を展開しました。1966年には、ジェームズ・メレディスが人種差別に抗議する「マーチ・アゲインスト・フェア」を開始し、その後、ストークリー・カーマイケルやマーティン・ルーサー・キング・ジュニアなどの著名な指導者が加わり、行進は大きな広がりを見せました。グリーンウッドのブロード通り公園で、カーマイケルは有名な「ブラック・パワー」演説を行い、公民権運動の転換点となりました。

現代のグリーンウッド

現在、グリーンウッドは、その歴史的な背景を持ちながら、現代の都市として発展を続けています。市は、市政委員会方式の政府を採用しており、7つの選挙区から選ばれた委員と市長で構成されています。また、アメリカ合衆国郵便公社が2つの郵便局を運営しています。市内には、「グリーンウッド・コモンウェルス」などの新聞や雑誌、テレビ局、ラジオ局が存在し、地域住民に情報を提供しています。

交通の面では、アムトラックの長距離列車「シティ・オブ・ニューオーリンズ」がグリーンウッド駅に停車します。また、グリーンウッド・レフロア空港も市東部に位置し、地域間の移動を支えています。さらに、アメリカ国道82号線や49号線などの高規格道路が市内を通り、交通網が整備されています。

教育面では、グリーンウッド公共教育学区が公立学校を運営しており、グリーンウッド高校がその中心となっています。また、私立学校や特殊教育を行う学校も存在し、多様な教育ニーズに対応しています。

文化と著名人

グリーンウッドは、ミシシッピ・ブルースの歴史においても重要な場所です。ラジオ局WGRMは、B.B.キングの生演奏を初めて放送した場所であり、ミシシッピ・ブルース・トレイルの標識が設置されています。この町は、ブルース歌手ロバート・ジョンソンやギター・スリムなどの著名なミュージシャンを輩出しています。また、俳優のモーガン・フリーマンや陸上競技選手のバレリー・ブリスコ＝フックスなど、各界で活躍する著名な人物も輩出しています。

グリーンウッドは、その歴史的な背景、文化的な豊かさ、そして公民権運動の歴史を伝える場所として、多くの人々に知られています。この都市は、過去の出来事を教訓に、より良い未来を築くための努力を続けています。

もう一度検索