グローバル・ラリークロス

レッドブル・グローバル・ラリークロス（GRC）

レッドブル・グローバル・ラリークロス（以下、GRC）は、北米におけるラリークロスレースの選手権であり、エクストリームスポーツの一環として多くのファンを魅了しました。その始まりは、2010年に飲料メーカー、レッドブルが主要スポンサーとなったXゲームでラリークロスが開催されたことです。好評を得たことから、2011年には年間5戦のレースシリーズとして本格的にスタートしました。

発展と国際的な広がり

2012年にはロサンゼルスでのXゲームの一環として開催されたレースで、WRC王者のセバスチャン・ローブがスポット参戦し、優勝を果たします。これにより、GRCは欧州からの注目を集め、2013年にはブラジルやドイツ、スペインでもレースが行われ、FIAによって世界ラリークロス選手権（World RX）が設立される道筋が整えられました。しかし、その後の2014年以降は再び北米限定での開催に戻っています。

GRCはまた、下位クラスとしてLites部門を2013年に創設しましたが、Volkswagenの独走や競争の激化が影響し、撤退が相次ぎました。2018年にはスーパーカー部門においてワンメイク車両が導入され、さらなる競争の激化が図られました。しかし、開催の見通しが立たず、GRCは事実上消滅しました。その後、GRCに参戦していた多くのチームはアメリカ・ラリークロス選手権（ARX）に移行しました。

2019年にはタイタンRXインターナショナル・ヨーロッパ・シリーズが設立され、ユーロ・スポーツの支援を受け盛況となるなど、新たな動きを見せています。

マシンについて

GRCにおけるマシンは、2017年までスーパーカーとLitesクラスが世界ラリークロス選手権の標準的な仕様に基づいていました。使われるタイヤについても、2013年まではクーパー、2014年と2015年にはヨコハマ、2016年以降はBFグッドリッチが供給し、各年ごとに変更がありました。2019年からは、Litesクラスの車両が各チームによって改造され、独自性が求められるようになります。

参戦チームとドライバー

2017年には、フォード、スバル、フォルクスワーゲン、ホンダがGRCに参戦していました。過去にはダッジ、シボレー、ヒュンダイ、シトロエン、サーブ、MINI、プジョーなどさまざまなメーカーが登場したことも特筆すべきです。現在のWRCのトレンドに倣い、小回りの利くBセグメントハッチバックが中心に使われており、Cセグメント車を使用する日本車が目立った成績を残すことは難しくなっています。

また、オルズバーグMSEやフーニガン・レーシング・ディヴィジョンなどラリー界では著名なチームに加え、チップ・ガナッシ・レーシングやアンドレッティ・オートスポーツ、ブライアン・ハータ・オートスポーツなどのサーキット競技の名門チームも参戦しました。ドライバー陣は、元F1ドライバーであるスコット・スピードやネルソン・ピケJr.、さらには元スノーボーダーのケン・ブロックなど多彩です。その他にも、フリースタイルモトクロスのレジェンドであるトラビス・パストラーナや、米国のトップギアの司会を務めるタナー・ファウストなども参戦しました。特に、WRC王者のセバスチャン・ローブやマーカス・グロンホルム、PWRC王者である新井敏弘もスポット参戦したことが話題となりました。

その競技と多様性に富んだ編成によって、GRCは多くの人々を魅了し続けたラリークロスの名選手権でした。

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