グン・ビリク・メルゲン晋王

グン・ビリク・メルゲン晋王：オルドスを率いた英雄の生涯

グン・ビリク・メルゲン晋王（1506年 - 1542年）は、16世紀のオルドス部において重要な役割を果たした人物です。彼はトゥメンの晋王（ジノン）であり、バルス・ボラト・サイン・アラクの長男として生まれ、後に強大な勢力を築き上げたアルタン・ハーンの兄にあたります。

生涯

1506年、グン・ビリク・メルゲン晋王は、バルス・ボラト・サイン・アラク晋王の息子として誕生しました。1531年に父が亡くなると、翌1532年、27歳で晋王の位を継承し、オルドス・トゥメンを領有することになります。

グン・ビリク・メルゲン晋王は、弟のアルタンとともに、オルドス部の右翼を率い、その軍事力を背景に周辺地域への侵攻を繰り返しました。彼らの標的は、中国の明朝をはじめ、オイラト、モグーリスタン、そして青海にまで及び、これらの地域から略奪を行うことで、オルドス部の勢力拡大を図りました。

しかし、その生涯は長くは続きませんでした。1542年、グン・ビリク・メルゲン晋王は37歳という若さで亡くなります。その後、1543年に息子のノヤンダラが晋王位を継承し、オルドス部の歴史は新たな局面を迎えることになります。

妻子

グン・ビリク・メルゲン晋王は、多くの妻妾を娶り、多くの子をもうけました。以下に、彼の主な妻子と子供たちを列記します。

タンスク大ハトン：トゥメト・トゥメンのハンリン部のアイラン・セゲルの娘
ノヤンダラ晋王
バイサングル・ラン太子
エシゲ叔母ハトン：ハルハ・トゥメンのジャライル部のエセン舎人の娘
オイダルマ・ノモハン・ノヤン
アルタンチュ・サイン・ハトン：トゥメト・トゥメンのチェグト部のホサイ・タブヌンの娘
ノム・タルニ・フワ太子
ブヤングリ・ドゥラル・ダイチン
バジャラ・ウイジェン・ノヤン
バドマ・サンバワ・セチェン・バートル
アムルジャ・ハトン：ヨンシエブ部のイバライ（イブラヒム）太師の娘
アムダラ・ダルハン・ノヤン
オンガラハン・イェルデン・ノヤン

グン・ビリク・メルゲン晋王の子供たちは、その後のオルドス部の政治や軍事において、重要な役割を果たすことになります。彼の血筋は、オルドス部の歴史に深く刻まれ、後世にまで影響を与え続けました。

まとめ

グン・ビリク・メルゲン晋王は、短くも激しい生涯の中で、オルドス部の勢力拡大に大きく貢献しました。彼の時代は、周辺地域との紛争が絶えませんでしたが、その軍事力とリーダーシップによって、オルドス部は勢力を維持し、発展を遂げることができました。彼の足跡は、モンゴルの歴史において、特筆すべきものとして語り継がれています。

参考資料
岡田英弘訳注『蒙古源流』（刀水書房、2004年、ISBN 4887082436）
* 宮脇淳子『モンゴルの歴史 遊牧民の誕生からモンゴル国まで』（刀水書房、2002年、ISBN 4887082444）

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