ケプラー10c

ケプラー10c

ケプラー10c は、太陽から見てりゅう座の方向に約560光年離れた位置にある恒星、ケプラー10の周囲を公転している太陽系外惑星です。この惑星は、同じ恒星系の内側を回るケプラー10bが発見された2011年1月の時点でその存在が示唆されていましたが、同年5月に正式に確認、発表されました。

発見と確認

ケプラー10cの発見には、恒星の手前を惑星が通過（トランジット）する際に生じる恒星のわずかな減光を捉える方法が用いられました。初期の観測で減光が検出されたものの、これが本当に惑星によるものか、あるいは天球上の別の場所にある天体による偽陽性反応かを慎重に判断する必要がありました。この偽陽性の可能性を排除するために、「BLENDER」と呼ばれる特殊な分析技術が活用され、さらにNASAのスピッツァー宇宙望遠鏡による赤外線での追加観測データが重要な役割を果たしました。

特に、ケプラー宇宙望遠鏡による可視光での観測とスピッツァー宇宙望遠鏡による赤外線での観測で、通過時の減光パターンに違いがないことが確認された点が、天体が恒星ではない惑星であることを強く示唆しました。これにより、天体がケプラー10と物理的に結びついた惑星であるという確証が高まり、以前は「KOI-072.02」と呼ばれていたこの天体は、ケプラー10cとして同定されました。統計的な手法を用いて惑星の存在が確認された系外惑星としては、ケプラー9dやケプラー11gに続いて3番目にあたります。この統計的検出手法は、ケプラー宇宙望遠鏡が観測した他の多くの天体についても、未知の惑星を確認するために有効であると考えられています。

特徴

ケプラー10cは、主星ケプラー10から約0.24天文単位（地球と太陽の平均距離の約4分の1）の距離を約45日周期で公転しています。内側を回るケプラー10bがわずか20時間で公転しているのに比べると、かなり外側の軌道を回っています。大気の影響を考慮しない場合の推定温度は、約485 K（212 ℃）と計算されており、温室効果があればさらに高温になるため、生命の存在に適した環境ではないと考えられています。

この惑星の物理的性質については、発見当初と考えられていた内容から、その後の精密な観測によって見解が変わっています。2011年の発見当時は、半径が地球の約2倍、質量が地球の15～19倍と見積もられ、その大きな質量と老いた主星（水素やヘリウムの大気を失った後の状態）という状況から、水（高圧の氷の状態を含む）が質量の5～20%を占める巨大な岩石惑星ではないかと考えられていました。

しかし、2017年に行われたチリのヨーロッパ南天天文台にあるHARPS高精度視線速度系外惑星探査装置や、ハワイのW・M・ケック天文台にあるHIRES高分解能エシェル分光器を用いた観測データによって、ケプラー10cは当初の推定より質量が小さい、地球の約7.37倍であることが明らかになりました。この新しい質量に基づくと、惑星の平均密度は約3.14 g/cm³となり、これは岩石が主成分というよりは、水などの揮発性物質を比較的多く含んでいることを示唆しています。このように、ケプラー10cは巨大な地球型惑星というよりも、揮発性成分に富んだタイプの系外惑星である可能性が高いと考えられています。

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