ケプラー20f

ケプラー20f

ケプラー20fは、地球から見てこと座の方向、約900光年彼方に位置する太陽系外惑星です。この惑星は、太陽よりもわずかに小さく、スペクトル分類がG型である主系列星ケプラー20Aの周りを公転しています。ケプラー20Aは連星系であるケプラー20の主星にあたるため、ケプラー20Afと呼ばれることもあります。

発見の経緯

ケプラー20fは、2011年にNASAのケプラー宇宙望遠鏡による観測データから発見されました。この惑星の存在は、主星であるケプラー20Aの前を通過（トランジット）する際に生じる主星の明るさのわずかな変化を捉える、トランジット法を用いて確認されました。2011年12月19日には、同じくケプラー20Aを公転する他の4つの惑星候補と共に、プレプリントとしてその発見が公表されました。当初、ケプラー20fとケプラー20eは惑星候補とされていましたが、翌日の12月20日には別の研究チームによって、これらが確かに惑星であることが確定したとする研究結果が報告されました。

特に注目すべきは、ケプラー20eと共に、ケプラー20fが太陽系外惑星として初めて地球と同程度の大きさを持つことが確認された惑星の一つであったという点です。これは、当時知られていた太陽系外惑星の多くが巨大ガス惑星であった中で、地球のような岩石惑星サイズの発見が現実味を帯びてきたことを示す画期的な出来事でした。

惑星の主な特徴

ケプラー20fの最大の特徴は、そのサイズが地球に非常に近いことです。

サイズ: 発見当初の推定では、ケプラー20fの直径は地球の約1.03倍とされ、地球よりわずかに大きいと考えられていました。しかし、その後の精密な観測や分析により、2023年に発表された最新の研究結果では、ケプラー20fのサイズは下方修正され、地球の約0.95倍であることが示されました。これは太陽系における金星（赤道直径が地球の約0.949倍）とほぼ同じサイズであり、地球型惑星としては非常に典型的な大きさであることが明らかになりました。

質量: 2023年には、HARPS-N分光器を用いた主星の視線速度観測によるケプラー20fの質量推定も行われました。この観測からは、ケプラー20fの質量は最大でも地球の1.4倍程度であるという結果が得られており、そのサイズに対して妥当な質量を持つ、おそらく岩石で構成された惑星であることを示唆しています。

軌道と環境: ケプラー20fは、主星であるケプラー20Aから非常に近い軌道を公転しています。その軌道長半径は約0.14天文単位（これは約2070万キロメートルに相当します）しかなく、公転周期は約20日と非常に短いものです。このため、惑星の表面温度は極めて高くなっています。液体の水が存在しうる生命居住可能領域（ハビタブルゾーン）よりも遥かに主星に近い位置にあるため、大気の効果を考慮しない場合の平衡温度は681ケルビン、摂氏に換算すると約408℃にも達します。この高温環境下では、地球上で考えられているような形態の生命が存在することは不可能であると考えられています。

ケプラー20fは、地球と同サイズの惑星が太陽系外にも存在する可能性を初めて具体的に示したという点で、太陽系外惑星研究の歴史において重要な位置を占める発見と言えます。しかし、その厳しい表面環境から、生命探査の対象となる可能性は低いと考えられています。

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