ケプラー93b

ケプラー93b

ケプラー93bは、地球から見てこと座の方向に位置する恒星ケプラー93の周囲を公転している太陽系外惑星です。その物理的な特徴から、地球と比較して高密度な岩石惑星である可能性が高いと考えられています。

発見の経緯

この惑星は、NASAのケプラー宇宙望遠鏡による精密な観測データをもとに、2014年にその存在が確認されました。ケプラー計画による最初のデータ分析で、主星ケプラー93の手前を通過する天体の存在が示唆されました。この予備的な発見を受けて、ハワイ島のケック天文台に設置された地上望遠鏡や、赤外線観測を行うスピッツァー宇宙望遠鏡を用いた追跡観測が実施されました。これらの追加観測によって、ケプラー93bが実際に存在する惑星であることが確定しました。

特徴

ケプラー93bは、そのサイズと質量において注目すべき特徴を持っています。半径は地球の約1.478倍と測定されており、その値にはわずかプラスマイナス120キロメートルという非常に高い精度が実現されています。一方で、質量は地球の約4.02倍と推定されており、これは一般的にスーパーアースと呼ばれる分類に属する質量です。この半径と質量から計算されるケプラー93bの平均密度は、地球の約1.2倍となります。この高い密度は、惑星が主に岩石質の物質で構成されているという推測を裏付けています。

しかしながら、ケプラー93bは主星であるケプラー93からわずか約800万キロメートルという非常に近い軌道を周回しています。この近距離のため、惑星の表面は極めて高温に加熱されており、その推定表面温度は1037K（摂氏約764度）にも達します。このような高温環境は、生命の存在はもちろん、液体の水が存在するためにも非常に厳しい条件であり、ハビタブルな惑星とは見なされていません。

内部構造に関する研究

2016年には、ケプラー93bを含む7つの岩石系外惑星の内部構造に関する詳細な研究結果が発表されました。この研究の対象となったのは、ケプラー10b、ケプラー36b、ケプラー78b、ケプラー93b、CoRoT-7b、HD 219134 b、そしてグリーゼ1132bといった惑星たちです。これらの惑星は、いずれも地球の2倍から5倍程度の質量を持ち、半径は地球の1.1倍から1.6倍の範囲に収まります。ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究チームは、地球や火星のような岩石惑星の標準的なモデルであるPREM（Preliminary Reference Earth Model）、すなわち核、マントル、地殻からなる三重構造がこれらの系外惑星にも適用できるかを検証しました。その結果、研究対象となった7つの惑星全てが、中心部に鉄などの金属で構成される核を持ち、その外側をマントル層と地殻層が覆うという地球型の内部構造を持っている可能性が高いことが示されました。

主星ケプラー93

ケプラー93bが周回する主星ケプラー93は、太陽に似た特徴を持つG型主系列星です。質量は太陽の約0.911倍、半径は約0.919倍と、太陽よりわずかに小さいサイズです。表面温度は5669K（摂氏約5396度）であり、太陽（5778K）と比較してやや低温です。年齢は約66億年と推定されており、これは太陽の約46億年と比べて20億年ほど年老いた恒星であることを意味します。地球からの距離については、情報源によって若干の差異があり、NASAのデータでは約300光年とされていますが、Open Exoplanet Catalogueでは315光年と記載されています。

ケプラー93bの他にも、この恒星系にはケプラー93cという別の太陽系外惑星が存在することが知られています。ケプラー93cは、主に行われたドップラー分光法による観測によって発見されました。

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