ケヴィン・ムーア

ケヴィン・ムーアは、その多才な音楽性と革新的なアプローチで、プログレッシブ・ロック、エレクトロニック・ミュージックの分野に大きな足跡を残したミュージシャンです。

ドリーム・シアター時代

1967年生まれのムーアは、ギタリストのジョン・ペトルーシ、ベーシストのジョン・マイアング、ドラマーのマイク・ポートノイらと結成したマジェスティ（後のドリーム・シアター）で音楽キャリアをスタートさせました。ドリーム・シアターでは、キーボーディストとしてだけでなく、作曲家としてもその才能を発揮し、バンドの初期の成功に大きく貢献しました。3枚のアルバムに参加した後、1994年に音楽性の相違からバンドを脱退し、新たな音楽の道を模索するためサンタフェへと拠点を移しました。

クロマ・キーの結成とソロ活動

サンタフェ移住後、ムーアはクロマ・キー (Chroma Key) を結成し、より実験的で内省的な音楽性を追求し始めます。デビューアルバム『デッド・エアー・フォー・レディオス』では、ドリーム・シアター時代とは異なる、デペッシュ・モードに影響を受けたような、暗くアンビエントなエレクトロニック・サウンドを展開しました。このアルバムには、フェイツ・ウォーニングのマーク・ゾンダーらが参加しています。

2000年代に入ると、ムーアはロサンゼルス、コスタリカ、イスタンブールなど、世界各地を転々としながら音楽活動を続けました。ロサンゼルスではデジタル色の強いアルバム『You Go Now』を制作し、コスタリカでは短波ラジオ局で平和活動番組の制作に携わりました。イスタンブールではホラー映画『Okul』のサウンドトラックを手掛け、後にソロ・アルバム『Ghost Book』として発表しました。

OSIへの参加

2003年には、フェイツ・ウォーニングのギタリスト、ジム・マテオスに誘われ、ドリーム・シアターのマイク・ポートノイ、シニックのショーン・マローンらと共にOSI (Office of Strategic Influence) を結成しました。OSIでは、クロマ・キーのダークでメロディアスな側面と、フェイツ・ウォーニングやドリーム・シアターのヘヴィネスを融合させた、独自の音楽性を展開し、ボーカルも担当しました。ポーキュパイン・ツリーのスティーヴン・ウィルソンがゲスト参加した楽曲も制作しています。

近年の活動

近年では、ソロ活動やOSIでの活動に加え、映画音楽の制作や、過去の教育映画に新たなサウンドトラックを付けるプロジェクトなど、多岐にわたる活動を展開しています。2005年にはカナダのモントリオールに移住し、ジム・マテオスと共にOSIの2枚目のアルバム『フリー』を制作しました。

ケヴィン・ムーアは、常に新しい音楽の可能性を追求し、ジャンルにとらわれない自由な発想で、聴く者を魅了し続けています。

ディスコグラフィー (一部抜粋)

ドリーム・シアター:
『イメージズ・アンド・ワーズ』 (1992年)
『アウェイク』 (1994年)
クロマ・キー:
『デッド・エアー・フォー・レディオス』 (1998年)
OSI:
『オフィス・オヴ・ストレタジック・インフルエンス』 (2003年)
『フリー』 (2006年)
フェイツ・ウォーニング
『パーフェクト・シンメトリー』(1989年)

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