ケーディー

ケーディー社：鉄道模型の世界を牽引するカプラーメーカー

オレゴン州ホワイトシティに拠点を置くケーディー社（Kadee Quality Products Co.）は、鉄道模型業界において、特に連結器（カプラー）で高い知名度を誇るメーカーです。精巧なマグネマチックカプラーを始め、鉄道車両やアクセサリーも幅広く製造しています。本稿では、ケーディー社の歴史、製品、そして関連企業であるマイクロトレインズについても詳しく見ていきます。

ケーディーカプラー：革新的な機能と高い人気

ケーディー社は1947年、画期的なマグネマチックカプラーを発表しました。このカプラーは、実物の自動連結器を忠実に再現したデザインと、磁力による操作機構が特徴です。ナックル（連結器の爪）が開閉し、連結・解放をスムーズに行うことができます。さらに、独自のDU（Delayed Uncoupling、遅延解放）機能を搭載しており、アンカプラー（解放器）で一旦解放した後、ナックルを開いたまま押すことで、車両を突放（軽く押して離す操作）できる点が大きな魅力です。この革新的な機能により、入れ替え作業が容易になり、米国で瞬く間にトップブランドとなりました。

ケーディーカプラーはHOゲージを中心に、Gゲージ、1番ゲージ、Oゲージ、On3ゲージ、Sゲージ、HOn3ゲージと、幅広いゲージに対応しています。また、様々な車両への取り付けを可能にするため、多様なカプラーポケットなども提供しています。

ケーディー社の車両とアクセサリー

ケーディー社はカプラーだけでなく、鉄道車両やアクセサリーも製造しています。古くからHOゲージの森林鉄道用貨車キット（運材台車、ログカー、カブースなど）を販売しており、精巧なディテールと、もちろんケーディーカプラーの搭載が特徴です。近年ではHOゲージの貨車完成品も販売されています。

アクセサリーとしては、ケーディーカプラー専用のアンカプラー（永久磁石式、電磁石式）、カプラーの高さを測るハイトゲージなどが挙げられます。その他にも、台車、積荷パーツ、レールスパイクなどの幅広い製品を取り扱っています。

マイクロトレインズ：Nゲージ市場への進出

かつてケーディー社はNゲージ用カプラーも製造していましたが、1990年にマイクロトレインズ(Micro-Trains)として独立しました。マイクロトレインズ社は現在、Nゲージ、Zゲージ、Nn3ゲージのカプラーや車両を製造しています。特に、アメリカ型車両の完成品は高い評価を得ています。HOn3とNn3ゲージでは貨車のみ、NゲージとZゲージでは機関車も製造しています。Zゲージではストラクチャーや線路も製造している点が特徴です。

日本におけるケーディー製品

1980年代には、関水金属（KATO）がNゲージ用ケーディーカプラーの正規代理店となり、日本市場への進出を果たしました。しかし、関水金属は自社開発のKATOカプラーを展開し、ケーディーカプラーは次第にその地位を譲っていきました。現在でも関水金属は、マグネマチックカプラーをオプションとして販売しています。一方、16番とHOゲージ向けのケーディーカプラーは、天賞堂が代理店として販売しています。

ケーディー社は、その革新的なカプラーと多様な製品群によって、長年にわたり鉄道模型愛好家から高い支持を得ています。マイクロトレインズ社とともに、これからも鉄道模型の世界に貢献していくことが期待されます。

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