ケーニヒスベルク条約 (1656年)

ケーニヒスベルク条約：北方戦争下のプロイセンを巡る駆け引き

ケーニヒスベルク条約は、1656年1月7日（ユリウス暦）/1月17日（グレゴリオ暦）に、北方戦争の最中に締結された重要な条約です。この条約により、ブランデンブルク選帝侯でありプロイセン公でもあったフリードリヒ・ヴィルヘルム（大選帝侯）は、プロイセン公国とエルムラントにおいてスウェーデンの封臣となり、スウェーデン側として参戦することを余儀なくされました。さらに、同年2月24日には、同じくケーニヒスベルクでフランスとの防衛同盟も締結されています。

条約締結の背景

1655年、スウェーデンによるポーランド＝リトアニアへの侵攻が急速に進展し、ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ・ヴィルヘルムは、自身の領土であるプロイセン公国の状況を深く憂慮しました。当時、プロイセン公国はポーランドの封土という立場にありました。

フリードリヒ・ヴィルヘルムは、ブランデンブルクに保有する1万4千の軍勢をプロイセンに進め、11月12日のリンスク条約において、王領プロイセンの貴族たちと防衛同盟を締結します。王領プロイセンの貴族たちは、プルシ議会が招集した兵士600名と、徴兵された3,000～4,000名を維持していました。さらに、王領プロイセンには正規軍と傭兵を合わせて3,600人が駐留していました。

一方、スウェーデン王カール10世は、ポーランドのほぼ全土を占領し、ポーランド王ヤン2世カジミェシュを追放しました。10月には、カール10世は占領下のクラクフから北上し、王領プロイセンを屈服させてスウェーデンの県にしようとしました。12月までに王領プロイセンのほぼ全土がスウェーデンに占領され、ダンツィヒ（ポーランド語名グダニスク）とマリエンブルク（ポーランド語名マルボルク）のみが抵抗を続けていました。ソーン（ポーランド語名トルン）とエルビング（ポーランド語名エルブロンク）は、リンスク条約での同盟に参加せず、11月にはすでにスウェーデンに降伏していました。カール10世は続いて東進し、プロイセン公国に進軍、これに対しブランデンブルク＝プロイセン軍は撤退を余儀なくされました。ブランデンブルク＝プロイセン軍の元帥ゲオルク・フリードリヒ・フォン・ヴァルデック伯爵は、フリードリヒ・ヴィルヘルムにスウェーデン軍を迎撃するよう進言しましたが、フリードリヒ・ヴィルヘルムは抵抗を避け、1月にスウェーデンが提示した条件を受け入れました。

ブランデンブルク＝プロイセン・スウェーデン間の条約内容

ケーニヒスベルク条約により、フリードリヒ・ヴィルヘルムはカール10世からプロイセン公国を封土として受け取り、その代わりとして兵隊を供出することを約束しました。また、ブランデンブルク選帝侯領は、スウェーデンの許可なしにバルト海で海軍を維持することが禁じられました。その代償として、フリードリヒ・ヴィルヘルムはエルムラントを獲得しました。

さらに、条約の第17条では、ルター派のカール10世がカルヴァン派のフリードリヒ・ヴィルヘルムに対し、プロイセンにおけるルター派の信仰の自由を認めさせました。

ブランデンブルク＝プロイセン・フランス間の条約

プロイセンとフランスの間では防衛同盟が締結されました。この条約は2月24日に起草され、4月12日にフランス王ルイ14世によってパリで批准、そして10月24日にケーニヒスベルクでフリードリヒ・ヴィルヘルムによって批准されました。

条約の結果とその後

ケーニヒスベルク条約締結後、スウェーデンの戦況が悪化すると、6月25日にはマリエンブルク条約が締結され、ブランデンブルク＝プロイセンはスウェーデンの同盟国としての地位を高めることになります。

カール10世の封臣のままであったフリードリヒ・ヴィルヘルムは、スウェーデンとブランデンブルクの連合軍として7月のワルシャワの戦いでポーランド軍を破りました。しかし、ポーランド王ヤン2世カジミェシュは、フリードリヒ・ヴィルヘルムを「日も月も昇らないところ」で逮捕すると宣言しました。8月には、ヤン2世はヴィンツェンティ・コルヴィン・ゴシェフスキにプロイセンへ侵攻させ、「フリードリヒ・ヴィルヘルムの裏切りに懲罰を与え」させました。ゴシェフスキが10月に撃退されるまで、13の町と250の村が焼き払われ、この出来事は20世紀まで現地の民話として語り継がれました。

その後、カール10世は1656年1月にフリードリヒ・ヴィルヘルムとラビアウ条約を締結、これによりフリードリヒ・ヴィルヘルムはエルムラントを放棄する代わりに、プロイセン公国がスウェーデンの封土ではなくなりました。さらに、ヴェーラウ条約とブロンベルク条約によって、フリードリヒ・ヴィルヘルムはポーランド側へと鞍替えし、ヤン2世はフリードリヒ・ヴィルヘルムのプロイセンにおける主権を確認することとなりました。

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