ゲーン・ソム

ゲーン・ソムの魅力

ゲーン・ソム（แกงส้ม）はタイ中部で親しまれているカレー料理であり、その名の通りオレンジ色の見た目が特徴的です。「ゲーン」とはカレー、「ソム」とは酸味を意味し、酸っぱさと辛さの絶妙なバランスを楽しむことができます。この料理は主にタマリンドからの酸味と独特の香辛料によって味わいが深まります。さらに、パームシュガーを加えることで甘さを引き立てるのも重要なポイントです。英語圏では「タイ・サワー・カレー」として知られています。

ゲーン・ソムの作り方

ゲーン・ソムの基本的な味付けには「ナム・プリック・ゲーン・ソム」というペーストが使用されます。このペーストはカピ（シュリンプペースト）、エシャロット、トウガラシを中心とした材料をすりつぶすことで作成されます。トウガラシは乾燥したものもあれば、生のものを使うこともあり、レシピによって好みが分かれます。これに魚やエビを加え、じっくりと煮込むことで完成します。

魚は煮崩れしないような品種が選ばれ、時にはエビや魚卵も使用されます。通常、ゲーン・ソムは米飯と共に供され、その相性の良さは格別です。また、家庭によって様々な具材が使われ、ドラムスティック（さやまめ）、グリーンパパイヤ、白胡蝶の花（ドク・ケー）などが用いられます。赤いドク・ケーを使用する場合は「ゲーン・ソム・ドク・ケー・デーン」と呼ばれます。

歴史と進化

ゲーン・ソムの人気が高まるにつれ、他の具材も取り入れられるようになりました。カリフラワー、ダイコン、キャベツ、ニンジンなどの野菜が加わり、さらにはオムレツまで具材として使われています。特にエビとチャ・オム・オムレツを使ったバリエーションは、ゲーン・ソムの有名な一品となっています。さらに、パイナップルやその他の魚介類を使用することもあり、料理の幅が広がっていますが、ココナッツミルクは使わないという点は共通しています。

地域ごとのバリエーション

タイ南部では、独自の酸味の効いたカレー「ゲーン・ソム」が存在しています。他の地域ではこの南部バリエーションを「ゲーン・ルアン」と呼ぶことがあり、主な材料にはタマリンドやターメリックなどが含まれます。ターメリックを使うことでよりスパイシーで酸味の強い味わいが生まれます。また、マレーシアに近いクランタン州では、「ゲーン・ソム・ノ・マイ・ドン」と呼ばれる料理があり、これには酢漬けのタケノコが使用されます。

ラオス料理では、豚肉を主成分としたゲーン・ソム・プラがあり、レモングラスやキノコが含まれています。タイ国内でも地域ごとに特有の材料が用いられ、例えばチョンブリー県ではコブミカンやマクア・プロが使用されます。

バリエーションが豊富なゲーン・ソムは、その魅力を保ちつつも地域や家庭ごとに異なるアプローチで楽しまれています。この独特なカレー料理は、一度味わう価値があります。

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