コザニ県

コザニ県：ギリシャ西マケドニア地方の鉱業と自然の宝庫

コザニ県は、ギリシャ共和国の西マケドニア地方に位置する行政区（ペリフェリアキ・エノティタ）です。県都はコザニ市であり、周辺にはカストリア県、フロリナ県、ペラ県、イマシア県、ピエリア県、ラリサ県、そしてグレヴェナ県と隣接しています。

多様な地形と気候

コザニ県の地形は多様性に富んでいます。北部にはアリャクモナス川とポリフィトス湖を含む小さな谷が広がり、東部と西部には山々が連なります。西部にはアスキオ山脈、北東部にはヴェルミオ山脈、南西部にはヴィオ山脈がそびえ立ち、北部は鉱山地帯となっています。この多様な地形は、大陸性気候から高山気候まで幅広い気候帯を生み出しています。コザニ市では夏は暑く、冬はテッサロニキよりも寒冷です。高地部や東部、西部では雪の多い厳しい冬となる一方、南部や沿岸部より雨が多い傾向があります。夏の気温は平均25℃～30℃前後です。2021年には、隣接するグレヴェナ県と共にユネスコ世界ジオパークに認定されました。

歴史の重みと近代化

古代からコザニ県地域には複数の王国が存在し、後にマケドニア王国に併合、その後ローマ帝国、東ローマ帝国の支配下に置かれました。14～15世紀にはオスマン帝国の支配を受け、1913年のバルカン戦争でギリシャ王国の統治下となりました。当初のコザニ県は、現在のフロリナ県、グレヴェナ県、カストリア県を含む広大な地域を包含していました。

希土戦争（1919～1922年）後の住民交換では、コザニ周辺に住むトルコ人がトルコへ移住し、代わりに小アジアやポントス地方からの避難民が定住しました。第二次世界大戦とギリシャ内戦による街の破壊は戦後の復興で修復され、空港や病院も建設されました。1996年と2008年には地震による被害を受けましたが、近年ではエグナティア高速道路の建設（1998～2006年）など、インフラ整備も進んでいます。

鉱業とエネルギー

コザニ県は古くから商業が盛んで、バルカン半島からドナウ川流域まで広がる商業圏を形成していました。現代においても、ギリシャ有数の商業地帯として栄えています。その経済を支えるのが、県内の豊富な鉱物資源です。褐炭（発電用燃料）、硝石塩（化学肥料）、クロムなどが産出され、かつてはアスベストも採掘されていました（現在は閉鎖）。

県内にあるポリフィトス湖は、水力発電用のダムによって作られた人工湖であり、ギリシャの電力供給に大きく貢献しています。しかし、産業の急成長に伴う環境問題も懸念されています。

行政区画

コザニ県は複数の自治体（ディモス、市）から構成されています。2011年のカリクラティス改革以前は、ノモス（広域自治体）として存在し、複数のディモス（基礎自治体）から成っていました。改革後、これらの旧自治体は、新しいディモスの行政区（ディモティキ・エノティタ）となっています。

交通

コザニ県には、国道3号線、国道15号線、国道20号線、そしてエグナティア高速道路が通じています。コザニ国際空港「フィリッポス」や、コザニ・アミンティオ線などの鉄道も整備されています。かつてはコザニ州、エオルデア州、ヴィオ州が存在しましたが、現在は法的な地位は持っていません。

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