コツマルワパ様式

コツマルワパ様式

コツマルワパ様式（コツマルワパようしき）は、古典期後期から終末期にかけて、グアテマラ南部の高地、特にエスクイントラ地方の太平洋岸で広がった石彫の様式です。この様式は、ナワ族やメキシコの伝統的な図像が特徴的で、グアテマラ・シティから車で約2時間の距離に位置するサンタ・ルシア・コツマルワパを中心に、広さ52平方キロメートルの範囲に多くの遺跡が残されています。その中でも最大の遺跡はビルバオであり、周囲にはエル・バウル、エル・カスティージョ、パンタレオン、パロ・ベルデといった他の遺跡も存在します。

研究の歴史

コツマルワパ様式についての知見は19世紀からありましたが、本格的な調査が進んだのは、1942年のジョン・エリック・シドニー・トンプソンによるエル・バウルの調査からです。トンプソンはこの様式を古典期後期に位置づけました。その後、1962年から64年にはステファン・デ・ボルヘギーやリー・アレン・パーソンズなどによる調査が行われ、テオティワカン文化にその起源を求める意見が確認されました。しかし、石彫の宗教的な意味の解釈に関しては後に停滞していました。最近では杉山久美子と杉山三郎が、アステカやミシュテカ系絵文書に見られる信仰や儀式の要素が古典期からこの地域に存在したことを示そうとしています。

石彫の特徴

コツマルワパの石彫は、骸骨や身体の形を表したレリーフ、球戯や球戯者に関連する図像が多く見られ、多くの神々が描かれています。特にアステカの「花と愛の神」として知られるショチピリなどの神々が登場し、彼は球戯場での穀物の神シンテオトルとして表現されることもあります。また、ショチピリは官能や生殖の属性を持つ神であり、彼の妻であるショチケツァルもこのようなテーマに関連しています。

他にも、エエカトルやトラロック、ケツァルコアトルといった神々が彫刻されており、それぞれが自然や宇宙を象徴する重要な役割を担っています。コツマルワパの石彫は、球戯の象徴を通じて自然のサイクルと豊饒を求める宗教観を表現していると考えられています。

経済的背景

コツマルワパ地方は、古くからカカオの産地として知られ、食用はもちろん通貨としても使われていました。このことは、石彫にもカカオの葉やつるがデザインに取り入れられていることからも窺えます。カカオはその経済的基盤を支える重要な要素であり、文化に深く根付いた存在だったのです。

まとめ

コツマルワパ様式は、メキシコ文化の影響を受けながら、グアテマラ特有の宗教観や経済的な背景を反映した重要な歴史的遺産です。これらの遺跡は、過去の文化や信仰を知る手がかりとして、今も多くの研究者の関心を集めています。

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