コプト典礼カトリック教会

コプト典礼カトリック教会

コプト典礼カトリック教会は、アレクサンドリア典礼を用いる東方典礼カトリック教会の一つの特定教会です。カトリック教会とフル・コミュニオン（完全な教会的一致）の関係にあり、典礼にはコプト語を使用します。同じアレクサンドリア典礼を用いるエチオピア・カトリック教会、エリトリア・カトリック教会は、ゲエズ語を使用しています。

総大司教座はエジプトの首都カイロ郊外のナスル・シティにあるエジプト聖母大聖堂に置かれており、現在のアレクサンドリア総大司教はイブラヒム・イサーク・シドラクです（2013年より在位）。2017年時点での信徒数は18万7320名です。

歴史

成立

17世紀、フランシスコ会を中心としたカトリックの宣教師がエジプトを訪れ始めました。1630年には、カプチン・フランシスコ修道会のカイロ支部が設立され、1675年にはイエズス会も到来しました。1713年には、コプト正教会の総主教がローマ教皇に従属しましたが、この合同は1442年の時と同様に長続きしませんでした。

1741年、コプト正教会の聖職者であったアンバ・アタナシウスがカトリックに改宗しました。1781年、教皇ベネディクトゥス14世は、アタナシウスをエジプトのコプト典礼カトリック教徒のための使徒座代理に任命しました。当時の信徒数は2000人に満たないほどでした。しかし、アタナシウスは後にコプト正教会に戻ったため、別の人物が使徒座代理を引き継ぎました。

総大司教庁

オスマン帝国のエジプト総督がコプト典礼カトリック教会のためのカトリック総大司教の設置を望んでいるという認識に基づき、教皇レオ12世はアレッポ使徒座代理区からアレクサンドリア総大司教庁を分離する形で設立しました。ただし、これは名目的なものでした。1829年、オスマン帝国はコプト典礼カトリック教徒が独自の教会を持つことを認めました。

エジプトでの信者数の増加を受けて、1895年に教皇レオ13世がカトリック総大司教座を再建しました。彼はまず、使徒座代理にキュリロス・マカリロス司教を任命しました。マカリロスは教会会議を開き、いくつかのラテン典礼を導入しました。1899年、レオ13世はマカリロスをコプト人のためのアレクサンドリア総大司教に任命し、キュリロス2世の称号を与えました。キュリロス2世は1908年までその地位にありましたが、その後、総大司教の座は長く空位となり、1947年に使徒座管理者による選挙で新たな総大司教が選出されました。

組織

コプト典礼カトリック教会は、エジプト全土を管轄する単一の教会管区で構成されています。アレクサンドリア総大司教は唯一の府主教でもあり、その名称は古代のアレクサンドリア総大司教庁から引き継がれたものですが、実際の聖座は現代エジプトの首都カイロにあります。

総大司教の下には、アレクサンドリア、アシュート、ギーザ、イスマイリア、ルクソール、ミニヤー、ソハーグにそれぞれ司教座を置く7人の属司教がいます。

修道会

コプト典礼カトリック教会には僧院はありませんが、聖心シスターズ、イエスとマリアのコプトシスターズ、イエスの小さなシスターズなど、いくつかの女子修道会が存在します。また、男子のためのフランシスコ会コミュニティも存在します。

教育・保健事業

聖職者を志す者は、カイロ郊外の聖レオ総大司教神学校で教育を受けます。コプト典礼カトリック教会は100以上の教区を持ち、それぞれの教区には小学校が、一部には中学校があります。教会は病院や診療所、孤児院を運営しています。

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