コマンダンテ・カッペリーニ (潜水艦)

コマンダンテ・カッペリーニ：数奇な運命を辿った潜水艦

コマンダンテ・カッペリーニは、イタリア海軍のマルチェロ級潜水艦として建造され、第二次世界大戦中に様々な国籍を経て、最後は海の底に沈んだ潜水艦です。その波乱に満ちた生涯を詳細に解説します。

イタリア海軍時代

1939年9月23日、コマンダンテ・カッペリーニはイタリア海軍の潜水艦として就役しました。艦名は、リッサ海戦で戦死したアルフレード・カッペリーニ提督に由来します。就役当初は地中海に配備されましたが、1940年9月には大西洋での任務に就き、イギリスの貨物船や武装商船を撃沈する戦果を挙げました。また、ラコニア号事件では救助活動にも参加しています。

日本との輸送任務

1943年になると、日本との輸送任務のために改造され、「アキラ3号」という仮称が与えられました。ドイツ軍の指導下で極東へ派遣され、5月11日にボルドーを出発、7月9日にサバン、翌日にはシンガポールに到着しました。生ゴム、錫、タングステンなどの戦略物資を積み込み、ヨーロッパへの帰還を予定していましたが、日本の妨害により出港は遅れました。

日独への接収

1943年9月8日、イタリアが連合国に降伏。これにより、コマンダンテ・カッペリーニの運命は大きく変わります。日本政府はイタリアを敵国とみなし、イタリア艦艇の接収を計画。シンガポールに停泊していた2隻のイタリア潜水艦は、日本軍によって抑留されました。そのうちの1隻である「アキラ3号」は、サバンで抑留された後、シンガポールへ移動。武装解除され、監視下に置かれました。

その後、大本営はイタリア潜水艦3隻をドイツ海軍に無償で譲渡することを決定。「アキラ3号」は「UIT24」と改名され、ドイツ海軍の所属となりました。しかし、実質的な運用は、サロ政権側のイタリア海軍兵によって継続されました。

「UIT24」は「UIT25」（旧「ルイージ・トレッリ」）と共にヨーロッパへ向かう計画がありましたが、途中で故障が発生し断念。「UIT123」（旧「レジナルド・ジュリアーニ」）は、マラッカ海峡でイギリス海軍の潜水艦によって撃沈されました。その後、「UIT24」は日本とマレー間の輸送任務に従事しました。

1945年5月、三菱神戸造船所で整備中にドイツが降伏。これにより、今度は日本海軍に接収され、「伊号第五百三潜水艦」と改名されました。同年7月15日には正式に日本海軍に編入され、呉鎮守府籍の特殊警備潜水艦として配備されました。

終戦とその後

1945年8月15日、日本は連合国に降伏。神戸港に停泊していた「伊号第五百三潜水艦」は連合国軍に接収、武装解除されました。そして1946年4月16日、「伊号第五百四潜水艦」（旧UIT25）と共に紀伊水道で海没処分され、その生涯を終えました。

終戦後、日本艦時代の2隻の潜水艦には、日本側についたイタリア人水兵がいましたが、降伏時にサロ政権（枢軸側）についたことで、脱走兵と裏切り者扱いされること恐れ、戦後も帰国せず日本に残ったそうです。

歴代艦長（伊号第五百三潜水艦）

廣田秀三 大尉：1945年7月14日 - 1945年10月30日
田中千秋 大尉/第二復員官：1945年10月30日 - 1945年12月1日


コマンダンテ・カッペリーニは、その数奇な運命を通して、第二次世界大戦の複雑な歴史を物語る潜水艦と言えるでしょう。

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