コロール (都市)

コロールは、パラオ共和国のコロール島に位置する都市です。かつてはパラオの首都として機能していましたが、2006年10月7日にその座をバベルダオブ島のマルキョクへ譲りました。しかし現在もなお国内で最も規模の大きな都市であり、2005年時点の人口は約12,600人と、当時のパラオ国民の半数以上がここに集中していました。

経済活動の中心地であり、市街地にはショッピングセンターをはじめ、様々な商店、銀行、レストランが軒を連ねています。また、医療機関や放送局といった公共施設も整っています。

この地の歴史は古く、1885年以前のスペイン植民地時代より、コロールはパラオの有力な大酋長（アイバドゥール）の本拠地として栄えていました。当時の島には縦断するような道はなく、人々は海路を利用して村々を行き来していました。

スペインに続くドイツ統治時代に入っても、都市のインフラ整備はほとんど進展しませんでした。わずかにコロール島を南北に結ぶ縦断道路が建設された程度でした。

状況が大きく変わったのは、第一次世界大戦後に日本の統治が始まってからです。南洋群島の統治を担う南洋庁がコロールに置かれると、ドイツ統治下で遅れていた学校や病院、道路などのインフラ整備が重点的に進められました。1920年代には、コロールは近代的な町並みへと姿を変えていきます。日本風の町名が導入され、縦断道路沿いに西から「コロール1丁目」から「コロール7丁目」までが割り振られました。当初、1丁目から4丁目は官庁街や日本人居住区、5丁目から7丁目がパラオ人の集落でしたが、1930年代には日本人人口が急増し、パラオ人から土地を借りる形で5丁目から7丁目にも日本人が暮らすようになりました。最盛期には現在の3倍もの人口を抱え、大変な賑わいを見せていました。人口増加に伴い、日本人向けの料亭やカフェーなどのサービス産業が発展し、歓楽街も形成されました。これらの店舗で働く女性従業員は、日本人と現地人を合わせて400人に達したと伝えられています。

第二次世界大戦後、日本人の引き揚げや、太平洋諸島信託統治領の首都がサイパンに移されたことにより、コロールの人口は激減しました。インフラ整備も停滞し、戦前には舗装されていた縦断道路も未舗装の状態に戻ってしまいました。小林泉氏の著書『ミクロネシアの小さな国々』には、終戦後も残っていた道路の舗装を、アメリカ軍が意図的に剥がしたという、後に議長を務めたトシオ・ナカムラ氏（クニオ・ナカムラ氏の兄）の証言が記されています。

1980年代に入り、パラオ自治政府（後の共和国政府）が設立されると、ようやく都市再開発が推進されることになりました。パラオ独立後は、日本や台湾などの外国政府からの援助を受けつつ、インフラの復旧・整備が進められています。

現在のコロール市内には、2010年に開館した日本の大使館と、2000年に開館した中華民国（台湾）の大使館が設置されています。かつてはフィリピンの大使館も存在しましたが、2012年7月31日に閉鎖されました。

交通面では、市内に幹線道路が整備されており、コロール島とバベルダオブ島は日本の支援によって建設された「日本・パラオ友好の橋」で結ばれています。市内のほとんどの道は舗装されていますが、高速道路はありません。主な交通手段は自家用車、スクーター、バス、タクシーです。観光客向けには夕方から夜にかけてシャトルバスが運行しています。また、市街地の郊外、隣接するバベルダオブ島のアイライ州には、パラオの玄関口であるロマン・トメトゥチェル国際空港があります。

国際交流としては、フィリピンのアンヘレス市とダバオ市、アメリカ合衆国のギルロイ市、インドネシアのマナド市と姉妹都市提携を結んでいます。現在、東京都に対しても姉妹都市となるよう働きかけています。

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