コンタフレックス

コンタフレックス：ツァイス・イコンの革新的なカメラシリーズ

コンタフレックスは、ドイツのカメラメーカー、ツァイス・イコンが展開したカメラのブランドです。この名前は、異なる3種類のカメラに使用されており、それぞれが全く異なる特徴を持つため、注意が必要です。具体的には、戦前の高級二眼レフカメラ、戦後の普及版レンズシャッター式一眼レフカメラ、そしてフォーカルプレーン式インスタマチック一眼レフカメラがあります。これらは同名ながら、システム互換性は一切ありません。

126フィルム使用カメラ

コンタフレックス126 (1968年発売)

外観は24x36mm判の一眼レフカメラに似ていますが、縦走りフォーカルプレーンシャッターを搭載したレンズ交換式カメラです。専用バヨネットマウントを備え、以下の交換レンズが用意されていました。

ディスタゴン25mm F4
ディスタゴン32mm F2.8
テッサー45mm F2.8
パンター45mm F2.8
ゾナー85mm F2.8
テレテッサー135mm F4
テレテッサー200mm F4

1971年まで製造されました。

135フィルム使用カメラ

二眼レフカメラ

コンタフレックス (1935年発売)

24x36mm判（ライカ判）の二眼レフカメラで、設計主任はフーベルト・ネルヴィンです。世界で初めて電気露出計とセルフタイマーを内蔵した画期的なカメラでした。当時の価格は非常に高価で、日本では「だるま」の愛称で親しまれていました。

専用バヨネットマウントを持ち、豊富な交換レンズが用意されていました。

ビオゴン3.5cm F2.8
オルソメター3.5cm F4.5
ゾナー5cm F1.5
ゾナー5cm F2
テッサー50mm F2.8
ゾナー8.5cm F2
トリオター8.5cm F4
ゾナー13.5cm F4

フォーカルプレーンシャッターはコンタックスと共通ではなく、改良が加えられています。シャッター速度は1/2〜1/1000秒。ファインダーはスフェル8cm F2.8で、ピントグラスに平凸レンズを使用し拡大しています。ファインダー内には5cm、8.5cm、13.5cmの撮影範囲を示す枠があり、3.5cmレンズ使用時は外付けファインダーを使用します。露出計の表示はファインダー左側に出ます。

一眼レフカメラ

24x36mm判（ライカ判）の一眼レフカメラシリーズは、合計140万台を売り上げ、西ドイツのカメラ市場を一気に一眼レフ化させたベストセラーとなりました。レンズシャッター式で、普及機として位置づけられていましたが、当時の日本では高価でした。

クイックリターンミラーは採用されておらず、シャッターを切ると画面は真っ暗になります。

コンタフレックスI (1953年発売)

レンズはテッサー45mm F2.8で交換不可。フレネルレンズを採用した明るいファインダーと、スプリットイメージによるピント合わせが特徴です。

コンタフレックスII (1955年発売)

コンタフレックスIにセレン式露出計が追加されました。

コンタフレックスIII (1957年発売)

レンズが交換可能なヘリコイド式のテッサー50mm F2.8に変更されました。露出計は内蔵していません。

コンタフレックスIV (1957年発売)

コンタフレックスIIIにライトバリュー式露出計が内蔵されました。

コンタフレックスアルファ (1958年発売)

レンズはパンター45mm F2.8、シャッターはプロンターレフレックスSVLの普及版を採用したモデルです。

コンタフレックスベータ (1958年発売)

コンタフレックスアルファに露出計を追加したモデルです。

コンタフレックスラピード (1959年発売)

巻き上げレバーと巻き戻しクランクを装備したモデルです。

コンタフレックスプリマ (1959年発売)

外光式連動露出計を内蔵したモデルです。

コンタフレックススーパー (1959年発売)

追針式連動露出計を内蔵したモデルです。非常に高い製造精度を誇ります。

コンタフレックススーパーノイ (1962年発売)

コンタフレックススーパーBからAE機能を省略したモデルです。

コンタフレックススーパーB (1963年発売)

シャッター優先AE機能を搭載したモデルです。

コンタフレックススーパーBC (1967年発売)

TTL露出計を内蔵し、電源に水銀電池を使用するモデルです。

コンタフレックスS (1968年発売)

コンタフレックスシリーズの最終モデルで、ラピッドローディング用スプールを搭載しています。

交換レンズ

コンタフレックスには、テッサー45mm F2.8装着モデル、テッサー50mm F2.8装着モデル、パンター45mm F2.8装着モデルがあり、それぞれ交換レンズの互換性があります。

テッサー45mm F2.8装着モデル用

1.7xフロントコンバージョンレンズ
ステリターA (ステレオアダプター)

テッサー50mm F2.8装着モデル用

プロテッサー35mm F3.2
プロテッサー35mm F4
プロテッサー85mm F3.2
プロテッサー85mm F4
プロテッサー115mm F4
プロテッサーM1:1 (接写レンズ)
ツァイス8x30単眼鏡 (超望遠レンズとして利用可能)
ステリターB (ステレオアダプター)

パンター45mm F2.8装着モデル用

パンター30mm F3.2
パンター75mm F4
ステリターD (ステレオアダプター)

オプション

インターチェンジャブルマガジンバック (前期型、後期型)

関連項目

カール・ツァイス
カール・ツァイスのレンズ製品一覧
ビオゴン
ディスタゴン
ゾナー
テッサー
ツァイス・イコン

参考文献

『クラシックカメラ専科』朝日ソノラマ
『クラシックカメラ専科』No.2「名機105の使い方」朝日ソノラマ
『クラシックカメラ専科』No.4「名機の系譜」朝日ソノラマ
『クラシックカメラ専科』No.9「35mm一眼レフカメラ」朝日ソノラマ
北野邦雄『現代カメラ新書』No.3「世界の珍品カメラ」朝日ソノラマ
佐貫亦男『ドイツカメラのスタイリング』グリーンアロー出版社 ISBN 4-7663-3189-3
竹田正一郎『ツァイス・イコン物語』光人社 ISBN 978-4-7698-1455-9
田中長徳『銘機礼賛2』日本カメラ社 ISBN 4-8179-0006-7

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