ゴルディアヌス2世

ゴルディアヌス2世：短く激しかったローマ皇帝の生涯

238年、ローマ帝国は動乱の時代を迎えていました。この混乱期に、わずか数ヶ月の間ながらも皇帝の座に就いたのがゴルディアヌス2世です。マルクス・アントニウス・ゴルディアヌス・センプロニアヌス・ロマヌス・アフリカヌスという正式名を持つ彼は、ゴルディアヌス1世の息子であり、父と共に共同皇帝として即位しました。そのため、父との区別のためにゴルディアヌス2世と呼ばれています。

彼の出自について、母親は有名な哲学者ヘロデ・アッティクスの娘であったと伝えられています。また、後の皇帝となるゴルディアヌス3世の母親アントニア・ゴルディアナは、彼の妹でした。しかし、ゴルディアヌス2世の若い頃については、史料が乏しく、彼の死後に書き残された記録は、彼を美化する意図が見られるため、信憑性に欠けるとも言われています。これらの記録によると、彼はエラガバルスの治世にクァエストル、アレクサンデル・セウェルスの治世にはプラエトルと補欠執政官を務めたとされています。237年には、父ゴルディアヌス1世の命によりアフリカ属州の総督に就任しました。

235年、アレクサンデル・セウェルスが低地ゲルマニア属州で暗殺されると、マクシミヌス・トラクスが皇帝の座を奪取します。元老院は消極的な姿勢を示したものの、マクシミヌスの皇帝即位は軍団によって支持されました。地方では反マクシミヌス勢力が台頭し、238年、ゴルディアヌス1世はマクシミヌスへの反乱を起こします。3月22日、元老院はゴルディアヌス1世にアウグストゥスの称号を与え、彼は高齢ながら皇帝となりました。そして、息子のゴルディアヌス2世を共同皇帝に指名し、父子による共同統治が始まりました。マクシミヌスの人気が低かったこともあり、彼らの即位は元老院や多くの属州から支持されました。

しかし、ゴルディアヌス2世の治世は長く続きませんでした。ヌミディア属州の総督カペリアヌスはマクシミヌスを支持しており、第3軍団アウグスタを率いてアフリカ属州へ侵攻しました。ゴルディアヌス2世はカペリアヌスの軍と激突しますが、この戦いに敗れ、238年末に戦死しました。彼の短い統治は、こうして幕を閉じました。

ゴルディアヌス2世の死後、様々な噂が飛び交いました。30年後、ガッリエヌス帝を暗殺して皇帝となったクラウディウス・ゴティクス（クラウディウス2世）が、ゴルディアヌス2世の私生児であるという噂も流れたようです。しかし、彼の出自については不明な点が多く残されています。

ゴルディアヌス2世は、短い期間しかローマ皇帝として君臨しませんでしたが、その生涯は、ローマ帝国の混乱と権力闘争を象徴する出来事の一つとして歴史に刻まれています。彼の短い治世とその最期は、多くの謎と憶測を残し、歴史家たちの研究対象となっています。彼に関する情報は断片的であり、真実に迫ることは困難ですが、彼の存在は、3世紀のローマ帝国の不安定な状況を理解する上で重要な手がかりとなっています。

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