ゴールデン湾

ゴールデン湾の概要

ゴールデン湾（英語: Golden Bay、マオリ語: Mohua）は、ニュージーランドの南島北西部に位置する、美しい放物線型の浅い湾です。この湾はタスマン海に面し、タスマン湾やクック海峡の北西端にあたります。特に注目すべきは、湾の北側に横たわる東西26キロメートルのフェアウェル・スピットという砂嘴であり、この地形は自然の美しさを一層引き立てています。また、南方向からアオレレ川とタカカ川が流れ込むため、豊かな水資源も特徴です。過去にはミナミセミクジラやザトウクジラ、さらにはピグミーシロナガスクジラといった美しい海洋生物が観察されたことがあり、今も自然愛好者にとって注目のスポットです。

湾の西岸と北岸は人が住んでいない広大な自然が広がっているのに対し、南岸にはタカカ村やコリングウッド村、さらにはエイベル・タスマン国立公園があります。この公園内がゴールデン湾とタスマン湾との地理的な境界を形成しており、自然を楽しむための場所として多くの観光客が訪れます。

1976年、ゴールデン湾はラムサール条約に登録され、その南岸には美しい砂丘と干潟が広がっており、カフランギ国立公園による保護も受けています。長い砂浜や海岸は、特に休日や晴れた日には多くの人々で賑わいます。

歴史的背景

少なくとも1450年という古い時点から、マオリの人々がこの湾の沿岸部に定住していたことが分かっています。1642年には、ガティ・トゥマタコキリ族の一派がこの地域を占拠し、同時にネーデルラントの探検家アベル・タスマンが湾から7キロメートルの距離に停泊しました。ところが、ガティ・トゥマタコキリの人々はオランダ船に接近し、4人の船員を殺害する事件が発生。これを受け、タスマンはこの湾を「モールデナール湾」、すなわち「殺人者の湾」と名付けました。

1770年には、英国の探検家ジェームズ・クックがこの地を訪れ、ゴールデン湾を「ブラインド湾」（盲目の湾）と考えましたが、1773年に再訪した際にその正確な位置を特定しました。その後、フランスの探検家ジュール・デュモン・デュルヴィルが「マサカー湾」と改名しました。

1823年にはマスケット戦争の最中、マオリの人々がガティ・トゥマタコキリ族を滅ぼしました。1842年にはフレデリック・トゥケットがモトゥピピ村近くで石炭を発見し、その後移住者がこの地に入植を始めました。1840年代へと進むと、湾は「石炭湾」として知られるようになり、1850年代後半にはアオレレで金が発見され、その名が「ゴールデン湾」へと変わりました。

近年では、2011年12月に豪雨と洪水に見舞われ、その後2012年には孤立していたトタラヌイ村への道路が復旧されました。2014年には、「ゴールデン湾/モフア」として正式に改名され、その名が広がっています。2017年の2月には、416頭以上のゴンドウクジラがフェアウェル・スピットに打ち上げられるという出来事もあり、自然環境の重要性が再認識されることとなりました。

このようにゴールデン湾は、美しい自然と歴史的な出来事が交差する特別な場所であり、観光客や自然愛好者にとって魅力的な目的地となっています。

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