サイド (ガンダムシリーズ)

サイドとは

『ガンダムシリーズ』の宇宙世紀作品に登場する「サイド」は、地球と月に対するラグランジュポイントを中心に配置された、巨大な宇宙コロニー群を指します。これらのコロニーは、人類が宇宙に進出する上で重要な役割を果たし、様々なドラマの舞台となりました。

設定の経緯

初期の『[機動戦士ガンダム]]』では、ロボットは登場しない予定でしたが、スポンサーの要請によりモビルスーツ]が誕生しました。当初、舞台は[[宇宙ステーションでしたが、MSのサイズに合わせて、ジェラルド・オニールの提唱した円筒形のスペース・コロニー（オニール・シリンダー）が採用されました。美術担当の中村光毅の協力もあり、コロニーのデザインが具体化されました。

『機動戦士ガンダム』では、サイド7を除きコロニー内部での戦闘は少なかったものの、『機動戦士Ζガンダム』以降、コロニー内での戦闘が多く描かれるようになりました。

設定概要

初期設定では、各サイドは建造順に番号が振られていましたが、現在では、ルナツーはサイド7と共にL3点付近に配置されています。その他のサイドも月とのラグランジュポイントに位置しています。一年戦争後のコロニー再生計画により、一部のサイドの場所と番号が変更されました。

サイドの人口は作品によって異なり、1億〜20億人程度とされています。初期設定では、1つのサイドは36〜40バンチで構成され、合計13億人が居住するとされました。各サイドには愛称があり、サイド7は「トア」から「ノア」に変更されています。

宇宙における生活拠点は、サイド以外にも、独自の軌道を取るコロニーや宇宙要塞などが存在します。また、ラグランジュポイント付近には、戦乱で破壊されたコロニーの残骸が集積し、反地球連邦勢力の拠点となることもありました。

スペース・コロニー

宇宙世紀のスペース・コロニーは、ほとんどがシリンダー型で3枚の採光ミラーを持つ「開放型」ですが、サイド3だけはミラーのない「密閉型」が主流です。開放型コロニーの採光部は「河」と呼ばれます。

開放型コロニーは、全長42キロメートル、直径6.4キロメートルで、最大3千万人を収容できます。また、最初に建造された大型コロニーでは、4千万人近い人々が生活を始めました。コロニーを2基1組にして、互いに逆回転させることでトルクを相殺する方式も存在します。

コロニー内の交通機関としては、主にエレカ（電気自動車）と、コロニー外壁の外側に設けられた懸垂式モノレールが用いられます。また、密閉型コロニーを建造する巨大プラント「メガラニカ」や、隕石に直接コロニーを接合した「フロンティアI」などの特殊なコロニーも存在します。

時代が進むにつれてスペース・セツルメントという呼称も用いられるようになりましたが、その後再びスペースコロニーの呼称が使われるようになります。

バンチと名称

各コロニーには、サイドごとに「バンチ」を単位とした番号が振られ、名称（愛称）が付けられています。バンチは初期設定からコロニーの「数」の単位として使われていましたが、後に「番号」の単位として一般化しました。

漫画『機動戦士ガンダム 宇宙のイシュタム』では、1つのバンチに4基のコロニーが配置されるとされています。また、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、「首都バンチ」のように用途を示す名称が付けられています。

各サイドの詳細

サイド1（ザーン）

月と同じ軌道で月より後方のL5点付近に位置し、人類が最初にスペース・コロニーを建設した場所です。一年戦争の緒戦で大きな被害を受け、ジオン軍の宇宙要塞ソロモンが置かれました。ザンスカール戦争後は、住人の多くが生活に困窮しています。

1バンチ / シャングリラ：史上初のシリンダー型スペース・コロニーで、ジャンク品を取り扱う業者が多い。非合法のMSによる賭け試合「バトレイヴ」が行われています。
3バンチ / エデン：宇宙移民の最初期に作られたコロニーで、小説版『機動戦士ガンダムUC』に登場します。
7バンチ / ケルン：0122年に連邦軍とジオン残党部隊の戦闘が繰り広げられた場所です。
13バンチ：一年戦争で最初に犠牲となったコロニーです。
30バンチ：ティターンズによるG3ガス虐殺事件の舞台となったコロニーです。
ネオ・1バンチ：0169年におけるサイド1の首都で、多層構造を持つコロニーです。
アイランド・イーズ：デラーズ・フリートによりコロニー落としに使用されました。
アイランド・ブレイド：「アイランド・イーズ」と共に移送中だったが、「イーズ」と衝突し宇宙を漂流しました。
その他：アルカディア、アルバニアン、エリュシオン、エルドラド、スウィート・ウォーター、セント・ガブリエル、ブッホ、ブルッツホルツ、ブリガドーン、ヘヴン、ヘルンガット、ムーンムーン、ルーシ、ロンデニオンなどが存在します。

サイド2（ハッテ）

月と同じ軌道で月より前方のL4点付近に位置します。一年戦争の緒戦で壊滅しましたが、0087年頃には再建されました。グリプス戦役中は中立を表明しています。

8バンチ / アイランド・イフィッシュ：ブリティッシュ作戦で地球に落とされ、シドニーに落下しました。
13バンチ / モルガルテン：アルプスの風景が再現された観光コロニーで、ティターンズによる毒ガス攻撃の標的となりました。
18バンチ：コロニーレーザーの試射標的とされ、住民が全滅しました。
21バンチ：ティターンズによるG3ガス攻撃を受け、住民が全滅しました。
その他：1バンチ、6バンチ / カラブリア、33バンチ / ザンクト・ゴットハルト、39バンチ / レム、85バンチ、アメリア、オリンポス、バーデン、ブルー3、ヘラス、マケドニアなどが存在します。

サイド3（ムンゾ）

月を隔てた反対側で地球から最も遠いL2点付近に位置し、ジオン公国発祥の地です。ジオン・ダイクンによってジオン共和国が建国され、開放型コロニーを密閉型に改造しました。

1バンチ / ズム・シティ：公国の中枢で、ガルマの国葬も行われました。終戦後も首都として機能しています。
3バンチ / マハル：ソーラ・レイに改造され、住民が強制疎開させられました。
9バンチ / 海：リゾート・コロニーで、水陸両用MSのテストにも使用されました。
24バンチ / タイガーバウム：香港や許都をモデルにした観光用コロニーです。
その他： 4バンチ、5バンチ / ボルドー、6バンチ、11バンチ、14バンチ、21バンチ / リゾンデ、26バンチ / アキレス、29バンチ、31バンチ / ブリュタール、35バンチ / キンツェム、エキストラ・バンチ / ダーク・コロニー、ガーディアン・バンチ、ファーム・バンチ / アマテラス、ウィルヘルムスハーフェン、グウィネズ、コア3、サガルマータ、ザハトなどが存在します。

サイド4（ムーア）→新サイド6

L5点付近に位置し、一年戦争緒戦で壊滅的な被害を受けました。コロニー再生計画により、名称がサイド6に改められました。現在はヘリウム3備蓄基地があります。

18バンチ / メーティス：学園都市コロニーで、ナラティブガンダムとシナンジュ・スタインの交戦で被害を受けました。
その他：6バンチ、23バンチ、ペトリファイド・フォレスト、マウリティア、ロディニアなどが存在します。

サイド5（ルウム）→新サイド4（フロンティア）

地球と月の間のL1点付近に位置し、ルウム戦役でほとんどのコロニーが壊滅しました。コロニー再生計画で、名称がサイド4に改められましたが、「フロンティア・サイド」として再建されました。

テキサス：観光コロニーですが、一年戦争で荒廃しました。ホワイトベースやシャアが立ち寄った場所です。
フロンティアI：資源コロニーで、F91の最終調整が行われました。
フロンティアIV：シーブック・アノーの出身コロニーで、コスモ・バビロニアの首都バビロンが置かれました。
その他：11バンチ / ワトホート、25バンチ / アリゾナ、27バンチ、31バンチ、首都バンチ / ミランダ、USJ-7、インゼル、インダストリアル7、ニューマンハッタン、フロンティアII、フロンティアIIIなどが存在します。

サイド6（リーア）→新サイド5

L4点付近に位置し、一年戦争中には中立を宣言しました。コロニー再生計画で、名称がサイド5に改められました。政治力と工業力で中立を保っていました。

8バンチ / パルダ：ホワイトベースが立ち寄ったコロニーで、アムロとララァ、シャアが初めて直接対面しました。
その他：27バンチ、28バンチ / ユピテル、アガルタ、アガルタII、ウクライナ、オンタリオ、カミイグサ、サリードI、ニュー・マディラ、ネオ・テキサス、フランチェスカ、ミート・オブ・トゥーン、リボー、（タガナスのコロニー群）などが存在します。

サイド7（ノア→グリーン・オアシス）

月と同じ軌道で、地球から見て月とは正反対のL3点付近に位置します。一年戦争勃発の2年前から建設が開始され、未完成ながら居住が始まっていました。一年戦争終了後、グリーン・オアシスと改称されました。

1バンチ / グリーンノア1：ホワイトベースがMS受領のために入港し、MS戦が初めて展開された場所です。その後再建され、カミーユ・ビダンらが住んでいました。
2バンチ / グリーンノア2 / グリプス：ティターンズの軍事基地・工廠があり、グリプス戦役の名称の由来となりました。
その他：サイドFが存在します。

サイド8（ガイア）

新サイド4と同じL1点に位置し、地球連邦崩壊後も中立を保っています。生物発光体の研究が行われていました。

ガイア：サイド8に最初に建設されたコロニーで、中立のセツルメントとして存在しています。

サイド以外のスペース・コロニー所在地

ゼブラ・ゾーン：月の裏側にある暗礁宙域で、かつてコロニー群が存在しましたが、放棄されました。

所在不明のスペース・コロニー

* ギムナシオン2、サファリ、ステップ、ツンドラ、ノイトラール、ルオイーなどが存在します。

脚注

注釈、出典、参考文献の記述は省略。

まとめ

「サイド」は、ガンダムの世界における人類の生活基盤であり、数々のドラマと戦いが繰り広げられた重要な舞台です。それぞれのサイドが持つ歴史や特徴を理解することで、ガンダムシリーズをより深く楽しむことができるでしょう。

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