ササヤマグノームス

ササヤマグノームスの紹介

ササヤマグノームス（学名：Sasayamagnomus）は、前期白亜紀のアルビアン期に相当する時代の日本に生息していた新しい角竜の属です。この恐竜は、兵庫県丹波篠山市の大山下層から発見され、最も保存状態の良い角竜類の化石として注目されています。現在知られているモデル種はササヤマグノームス・サエグサイ（Sasayamagnomus saegusai）です。

発見と命名の歴史

ササヤマグノームスの化石は、兵庫県丹波篠山市宮田の地層で発見されました。この場所では、小型脊椎動物の化石が密集しており、17個の頭骨要素や骨の一部が見つかっています。特に右鼻骨が重複していることから、この地層には少なくとも2体の別個の恐竜の化石が含まれていることが示唆されています。

この新しい恐竜の正式な命名が行われる前に、2023年には学会抄録として発表されていました。ホロタイプとして正式に識別されたのはMNHAH D1-060516で、2024年に新属新種として名前が付けられました。ササヤマグノームスという名称は、発見場所である篠山と、ラテン語で「小人」を意味するgnomusを組み合わせたもので、「篠山の地下に隠された財宝を守る小人」という物語が隠されています。種小名のsaegusaiは、丹波地域の恐竜研究の先駆者であり、貴重な成果を残した故・三枝春生博士を称えるものです。

体の特徴と成長段階

ササヤマグノームスは、約80cmの全長と約10kgの体重を持っていたと考えられています。非常に原始的な角竜類であったため、特徴的な大きな角やフリルは持っておらず、身体的には小型の恐竜でした。さらに、化石に見られた脛骨内部の成長輪や微細構造を分析することで、ササヤマグノームスの個体は成長段階にある若い恐竜であったことが判明しています。

分類と進化

この恐竜は、北アメリカに広がる角竜類に親戚関係があることが示唆されています。これは、1億1000万年前頃にはユーラシア大陸と北アメリカがベーリング陸橋で繋がっていたため、それを通じてアジアから北アメリカへの移動があった可能性を示しています。 Tanakaらの2024年の研究によってササヤマグノームスの系統解析が行われ、基部系統新角竜類の一部として、アクイロプスやアウロラケラトプスと近縁であることが確認されました。

古生態学の背景

ササヤマグノームスの化石は、前期白亜紀のアルビアン前期から中期に相当する時代の、大山下層で見つかりました。この地層は砂岩、泥岩、礫岩から成り、温暖な気候で河川の作用が強かったと考えられています。また、他の恐竜の歯や卵化石も発見されており、ドロマエオサウルス類やティラノサウルス類など、多様な恐竜が同時期に生息していたことが示されています。この地域の化石は、モンスターサウリア類のモロハサウルスや、竜脚類のタンバティタニスなど多岐にわたることがわかっており、篠山層群からは他にも多様な動物相が発見されています。

このように、ササヤマグノームスは恐竜の進化と化石探査において重要な役割を果たす新たな発見となりました。

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