サワシロギク

サワシロギク（沢白菊）

サワシロギク（学名：Aster rugulosus）は、キク科シオン属に分類される多年草の一種で、日本の固有種です。北海道から九州にかけて分布し、温帯から暖帯の山間湿地や日当たりの良い酸性の湿地を好んで生育します。

特徴

地下茎を長く伸ばして繁殖し、地上に直立する茎は50cmから60cm程度の高さになります。茎は無毛で、葉は線状披針形で表面に特徴的な皺があります。

花期は8月から10月にかけてで、直径約27mmの頭花を咲かせます。舌状花は一列に並び、最初は白色ですが、次第に紅紫色を帯びてきます。花柄は長く、苞はありません。痩果はやや円柱状をしています。

分類

サワシロギクには変種や雑種がいくつか存在します。

シブカワシロギク：静岡県浜松市渋川の蛇紋岩地帯に生育する変種（Aster rugulosus var. shibukawansis）
ナガバシラヤマギク：シラヤマギクとの雑種（Aster X sekimotoi）
ヤマサワシロギク：ヤマシロギクとの雑種（Aster Hashimotoi）：滋賀県蒲生郡布施で確認されている。

名前と由来

サワシロギクの名前は、その生育環境と花の色に由来します。山間湿地に生育し、白い花を咲かせることから「沢白菊」と名付けられました。同様に、サワギク（別属）も湿った場所に生育することからその名がついています。

種の保全状況

サワシロギクは、生育地の消失や環境の変化により個体数が減少しており、多くの都道府県でレッドリストに指定されています。

絶滅：群馬県、東京都区部・南多摩
絶滅危惧IA類：長野県、福岡県
重要保護生物（B）：千葉県
絶滅危惧I類：徳島県、香川県
絶滅危惧II類：秋田県、神奈川県、大阪府、佐賀県
Bランク：岩手県
準絶滅危惧：三重県
希少種：奈良県
情報不足：埼玉県
その他重要種：滋賀県
要注目種：京都府

これらの指定は、サワシロギクの生育環境の保全と個体数の回復が急務であることを示しています。

その他

サワシロギクは、野菊として山野草として苗が市販されることもあります。



参考文献

北村四郎「日本産新菊科植物VIII.」『植物分類・地理』第3巻第3号、日本植物分類学会、1934年10月30日
佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 離合弁花類』平凡社〈草本III〉、1981年10月
佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草木』平凡社〈フィールド版〉、1985年2月15日。ISBN 4-582-53511-9
林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 9784635090421
牧野富太郎『牧野日本植物図鑑』（改訂版）北隆館、1951年

関連項目

野菊

外部リンク

サワシロギクの標本（神奈川県箱根山仙石原で1959年8月27日に採集） （千葉大学附属図書館）
サワシロギク （広島大学デジタル自然史博物館）
* Aster rugulosus （The Plant List）

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