サンティアゴ島

アフリカ大陸西岸から約500キロメートル沖合の大西洋に位置するサンティアゴ島は、カーボベルデ共和国を構成する島のひとつであり、特にソタヴェント諸島（風下諸島）に属しています。この島はカーボベルデ最大の面積を誇り、国の総人口の約半数がここで生活するなど、人口密度も最も高い島です。政治、経済、文化の中心としての役割を担っており、首都プライアが置かれています。

地理

サンティアゴ島は、同じソタヴェント諸島のマイオ島とフォゴ島に挟まれるように位置しています。地形は概して山がちで、標高1,000メートルを超えるアントニア山やマラゲタ山のような峰が連なりますが、島の南東部には比較的平坦な地域が広がっています。気候は地域によって異なり、内陸部や東海岸は湿度が高く比較的湿潤であるのに対し、南西岸から南岸にかけては乾燥した対照的な気候が見られます。

島の主要都市としては、南東岸に位置する首都でありカーボベルデ最大の都市であるプライアがあります。また、南岸にはカーボベルデで最初に建設された歴史的な街シダーデ・ヴェーリャ（旧称リベイラ・グランデ）があり、島の中央部にはかつて首都が置かれたアソマダ、北部には港町タラファルといった集落が点在しています。

東部にあるペドラ・バデジョ湖沼群は、ポイランダムによる貯水池や海岸沿いのラグーンを含む湿地帯で、生態学的に重要な地域です。ここにはムラサキサギ、ケープベルデアシナガヨシキリ、セイタカシギ、シロチドリなど、渡り鳥や固有種の鳥類が多く生息しており、海岸は絶滅危惧種であるアカウミガメの重要な営巣地ともなっています。この地域は2005年にラムサール条約登録地に認定されました。植生においては、沿海部ではハマビシ科のジゴフィルム属の植物が見られますが、内陸部では外来種であるメスキート（Prosopis juliflora）が広く分布しています。

歴史

サンティアゴ島の歴史は、1460年頃にポルトガル人探検家アントーニオ・ダ・ノリによって「発見」されたことに始まります。彼は現在のシダーデ・ヴェーリャの地に駐屯地を設け、リベイラ・グランデと名付けました。この町は、大西洋を越える奴隷貿易の重要な中継地として急速に発展し、一時はポルトガル植民地の中で2番目に裕福な都市となりました。

しかし、奴隷貿易の主導権がイギリス、オランダ、フランス、スペインといった他のヨーロッパ諸国に移るにつれて、ポルトガルの支配力は弱まりました。島は頻繁に海賊の襲撃を受けるようになり、特に1712年にシダーデ・ヴェーリャが海賊に徹底的に破壊されたことは大きな転換点となりました。これにより、もはや首都機能を維持することが困難になり、政治の中心はプライア平野へと移されました。

ポルトガルによる植民地支配下では、島の住民は経済的、社会的に不利な状況に置かれました。こうした背景から、島の住民は独立運動を強く支持し、アミルカル・カブラル率いるギニア・カーボベルデ独立アフリカ党（PAIGC）の活動を後押ししました。その結果、カーボベルデは1975年にポルトガルからの独立を果たしました。

サンティアゴ島は、クレオール文化の重要な拠点としても知られ、過去にはクレオール文化に関する国際会議を何度か主催しています。また、科学史においては、1831年末から1832年初頭にかけて、博物学者チャールズ・ダーウィンが乗船していたイギリス海軍の調査船ビーグル号が、この島のポルト・プラヤ港に寄港したことでも知られています。

人口と経済

現在、サンティアゴ島にはおよそ29万人が暮らしており、前述の通りカーボベルデの島々の中で最も人口密度が高い地域です。経済活動の中心は農業、観光、そして漁業であり、工業は小規模に留まっています。農業ではサトウキビ、トウモロコシ、バナナ、コーヒー、マンゴーなど、多様な作物が栽培されています。独立以降、政府は学校、港湾施設、空港、道路といった社会インフラの整備に力を入れ、島の発展を支えています。島の玄関口としては、ネルソン・マンデラ国際空港が重要な役割を果たしています。

サンティアゴ島は、歴史的な深み、多様な自然、そして活気ある文化が融合した、カーボベルデを代表する島と言えるでしょう。

もう一度検索