サン・ジャシント (空母)

USS サン・ジャシント (CV/CVL-30) の詳細

USS サン・ジャシント (CV/CVL-30) は、アメリカ海軍のインディペンデンス級航空母艦の9番艦であり、その艦名はテキサス独立戦争のサンジャシントの戦いに由来します。当初は軽巡洋艦として起工されましたが、後に航空母艦へと艦種変更され、第二次世界大戦の太平洋戦線で重要な役割を果たしました。

艦歴

サン・ジャシントは、1942年10月26日にニュージャージー州カムデンで軽巡洋艦「ニューアーク」として起工されました。その後、1943年1月に航空母艦に変更され、「サン・ジャシント」と命名されました。1943年9月26日に進水し、同年11月15日に就役しました。カリブ海での整調航海後、太平洋戦線へと向かいました。

1944年：太平洋での激戦

1944年、サン・ジャシントは太平洋艦隊に加わり、第58任務部隊の一員として活動を開始しました。ウェーク島や南鳥島への攻撃、マリアナ沖海戦に参加。特にマリアナ沖海戦では、アメリカ軍の大勝に貢献し、日本軍機を多数撃墜しました。この海戦は「マリアナの七面鳥撃ち」として知られています。また、この海戦で、サン・ジャシントの砲手は友軍艦艇に接近する日本軍機を撃墜しています。夜間には、帰還する艦載機が混乱する中、一機の日本軍機が着艦を試みたというエピソードも残っています。

その後、サン・ジャシントはロタ島やグアムへの攻撃、パラオ攻撃、父島、母島、硫黄島への攻撃に参加しました。この時期、艦載機のパイロットがグアム島上空で撃墜され、17日間救命筏で過ごした後救助されるという出来事も発生しています。

ジョージ・H・W・ブッシュの被撃墜

1944年9月2日、サン・ジャシントから発進した雷撃機「バーバラ」に搭乗していたジョージ・H・W・ブッシュ（後のアメリカ合衆国大統領）は、父島攻撃中に被弾し、海上に脱出しました。ブッシュは潜水艦に救助されましたが、同乗していた他の乗組員は行方不明となり、戦死と認定されています。この出来事は、ブッシュのその後の人生に大きな影響を与えました。

フィリピン戦線

サン・ジャシントは、10月にはフィリピンのレイテ島上陸作戦を支援し、エンガノ岬沖海戦にも参加しました。この海戦で日本艦隊に大きな損害を与えました。また、レイテ島上空では、特攻機による攻撃を受けましたが、艦砲で撃墜しています。12月にはコブラ台風に遭遇し、艦に軽微な損傷を負いました。この頃、ブッシュは116回の出撃を終え、本国へ帰還しました。

1945年：終戦まで

1945年に入ると、サン・ジャシントは南シナ海での作戦に参加し、台湾やインドシナ方面への攻撃を行いました。その後、日本本土攻撃にも参加し、関東地方の飛行場を攻撃しました。沖縄戦では、特攻機の攻撃を受けながらも、地上部隊への航空支援を続けました。1945年4月7日には、艦載機が沖縄水上特攻部隊の駆逐艦「浜風」を撃沈しています。

終戦まで、日本近海で活動を続け、終戦後には、日本の捕虜収容所に食料や医薬品を投下する任務にも従事しました。

戦後

サン・ジャシントは、1945年9月14日にアメリカに帰還し、1947年3月1日に退役しました。その後、1959年に航空機輸送艦 (AVT-5) に艦種変更されましたが、1970年に除籍され、1971年にスクラップとして売却されました。

サン・ジャシントは、第二次世界大戦での戦功により、殊勲部隊章と5つの従軍星章を受章しました。また、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領が搭乗していた艦としても知られています。ブッシュの父島での被撃墜事件は、日本でも報道され、大きな話題となりました。

外部リンク

Texas Navy hosted by The Portal to Texas History：テキサス革命と共和国時代のテキサス海軍に関する調査資料。
* USS San Jacinto at Nine Sisters Light Carrier Historical Documentary Project：USSサン・ジャシントの歴史ドキュメンタリープロジェクト。

この記事は、アメリカ合衆国政府の著作物であるDictionary of American Naval Fighting Shipsに由来する文章を含んでいます。

もう一度検索