サン・マロ襲撃 (1758年)

サン・マロ襲撃（1758年）

サン・マロ襲撃は、七年戦争中の1758年6月にイギリス軍がフランスのブルターニュ地方にあるサン・マロに対して行った水陸両用作戦です。イギリス軍は一時的に上陸し、1週間後に撤退しました。当初計画されていたサン・マロ自体への襲撃は中止されましたが、周辺の港で多くの物資が破壊されました。

背景

当時のイギリス首相ウィリアム・ピットは、ヨーロッパ大陸における同盟国（主にプロイセン）を支援するため、フランス本土への目くらましとして水陸両用作戦を構想しました。前年のロシュフォール襲撃では、イギリス軍はエクス島を占領したものの、ロシュフォールへの攻撃はできずに撤退していました。ピットは、この失敗の原因を指揮官にあると考え、再びフランス沿岸への遠征を計画しました。

襲撃の実行

1758年初頭、イギリス内閣は新たな襲撃を計画し、ワイト島に軍隊を集結させました。ピットはロシュフォール遠征の失敗を教訓に、新たな上陸用舟艇を設計し、兵士の招集方法を改善することで、集結にかかる時間を短縮しました。次の目的地として、漁業と私掠船の拠点であったサン・マロが選ばれました。これは、イギリス軍が英仏海峡に留まり、フランスによるイギリス本土への侵攻が発生した場合に迅速に対応できるという戦略的な判断によるものでした。

6月1日に出航したイギリス遠征軍は、5日にサン・マロ近郊のカンカル湾に到着し、その夜に陸軍が上陸を開始しました。サン・マロは土手道で繋がっていましたが、イギリス軍はまずその水源を遮断しようとしました。上陸直後、フランス軍の砲兵部隊が上陸部隊を攻撃しましたが、イギリス艦隊の砲撃によって撃退されました。その後、イギリス軍はサン・マロへ進軍しましたが、都市を占領するには大規模な包囲戦が必要であることが判明しました。時間的余裕のないイギリス軍は、代わりに近隣のサン・セルヴァン港を占領し、30隻の私掠船と100隻のその他の船舶を焼き払いました。

東のドル＝ド＝ブルターニュに派遣された偵察部隊から、フランス軍が接近しているとの報告を受けたマールバラ公は、撤退を決断し、6月11日から12日にかけて遠征軍は再び乗船しました。その後、遠征軍は1週間以上サン・マロ沖に留まり、ル・アーヴル、カーン、シェルブール＝オクトヴィルなどを次の目標として検討しましたが、いずれも実行には至りませんでした。悪天候と補給の不足により、マールバラ公は帰国を決意し、ポーツマスへ帰還しました。

その後

サン・マロの占領には失敗したものの、この遠征はイギリスにとって成功と見なされました。フランス軍はイギリス軍の出発を察知していましたが、当初はイギリス軍がフランドルへ向かい、フェルディナント・フォン・ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル率いるドイツ軍と合流することを警戒していました。しかし、目標がサン・マロであることが判明すると、フランス軍は安堵しました。しかし、ロシュフォール襲撃と同様に、沿岸部への奇襲攻撃はフランスに沿岸警備の重要性を認識させ、その結果、フランスの沿岸警備兵力は年々増強されていきました。

同年8月にはシェルブール襲撃が成功を収めましたが、9月にトマス・ブライ率いるイギリス軍が再びサン・マロを襲撃した際には、フランス軍に待ち伏せされ、サン＝カスの戦いで辛うじて撤退するという結果に終わりました。これにより、イギリス軍によるフランス沿岸への襲撃作戦は終焉を迎え、以降はドイツへの直接派兵を重視する政策へと転換しました。

また、王太子ジョージの弟であるエドワード・オーガスタスが、次の遠征に参加することが公表されました。

もう一度検索