土手道

土手道（コーズウェイ）とは

土手道、またはコーズウェイとは、水域や湿地を横断するように盛土を築き、その上に道路や鉄道を建設した構造物のことです。英語では「Causeway」と呼ばれます。土手道は、単に陸地を繋ぐだけでなく、様々な役割を担ってきました。

土手道の構造

土手道の構造は、場所や目的によって異なります。完全に埋め立てて陸地を連結するタイプもあれば、潮の満ち引きや船の航行のために一部に切れ目を設け、そこに橋を架けるタイプもあります。また、盛土ではなくアーチ状の構造で交通路を確保する高架橋も存在しますが、一般的に、土や石で大部分が支えられているものを土手道、橋脚と桁で支えられているものを高架橋と区別します。洪水対策のために暗渠が設けられている場合など、両者の区別が曖昧になることもあります。

海に建設された土手道は、満潮時や悪天候時には通行が困難になることがあります。

現代の土手道建設

現代の土手道は、鋼鉄製の杭やコンクリート擁壁を打ち込み、それらをケーブルやロッドで繋ぎ、囲いを造って建設されることがあります。この構造は、水域を二つに分ける堤防としての役割も果たします。例えば、水位差のある水域や、塩水と淡水が隣接する水域で、堤防の頂上を道路として利用し、水の侵食を防ぐなどの目的で建設されます。また、堤防の補修工事の際のアクセス路としても利用されます。

土手道の事例

世界には様々な土手道が存在します。

ジョホール・シンガポール・コーズウェイ: シンガポールとマレーシアを結ぶ土手道で、道路と鉄道が通っています。
キング・ファハド・コーズウェイ: バーレーンとサウジアラビアを結ぶ土手道の一部で、道路と鉄道が通っています。
ヴェネツィアと本土を結ぶ土手道: ヴェネツィアとイタリア本土を結ぶ土手道で、道路と鉄道が通っています。
オランダの堤防: 締め切り大堤防やゾイデル海開発の堤防など、多くの堤防が土手道の役割も果たしています。
パナマの土手道: パナマ市とペリコ・フラメンコ・ナオスの島々を結び、パナマ運河に出入りする船の防波堤の役割を兼ねています。
テノチティトランの土手道: アステカの首都テノチティトランには、道路と水路を通す土手道がありました。
スウィート・トラック: これまでに発見された最古の土手道は、紀元前3800年代にイングランドに建設されたスウィート・トラックです。
チャーチル・バリア: オークニー諸島のスカパ・フロー東側にある4つの土手道で、第二次世界大戦中に軍港防衛のために建設されました。
海中道路: 日本では、沖縄本島の勝連半島と平安座島を結ぶ海中道路が有名です。

土手道の注意点

土手道の建設は、周囲の環境に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

潮流への影響: 土手道は潮流に影響を与え、浜辺の侵食や土砂の沈殿の変化を引き起こす可能性があります。ドイツのヒンデンブルクダムでは、実際にこの問題が発生しました。
悪天候時の危険性: 台風やハリケーンなどの悪天候時には、強風や高波によって土手道が危険な状態になることがあります。島民が早めに避難するのは、渋滞の問題に加えて、この危険性も考慮されています。
航行の注意: 土手道は、水域を永久に分断する可能性があり、橋などと比較して水上から見えにくいため、船乗りは注意が必要です。

まとめ

土手道は、単なる交通路としてだけでなく、堤防や防波堤といった様々な役割を担う重要な構造物です。しかし、建設する際には、環境への影響や悪天候時の危険性など、様々な点に注意する必要があります。その歴史と構造を理解することで、私たちの生活を支える土木技術の奥深さを感じることができるでしょう。

参考文献

Oxford English Dictionary. 1971. ISBN 0-19-861212-5.
Collins Robert French Dictionary, 5th edn. 1998. ISBN 0-00-470526-2.
Nouveau Petit Larousse Illustré, Paris. 1934.
Grape, W. The Bayeux Tapestry. Prestel, Munich and New York. 1994. ISBN 3-7913-1365-7.
* Evans, H.M. and Thomas, W.O. The New Welsh Dictionary (Y Geiriadur Newydd). Llyfrau'r Dryw, Llandybie. 1953.

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