サーバートン

サーバートン：アメリカ競馬史に輝く三冠馬

サーバートン (Sir Barton, 1916年-1937年) は、アメリカ合衆国で活躍した伝説的な競走馬です。1919年、史上初めて現行のアメリカクラシック三冠を制覇したことで知られています。その輝かしい競走生活と引退後の生涯、そして後世への影響について見ていきましょう。

誕生からデビューまで

ケンタッキー州で生まれたサーバートンは、アメリカリーディングサイアー5回獲得の名馬スターシュートを父に、レディースターリングを母に持つ良血馬でした。生産者であるジョン・エドワード・マッデンとヴィヴィアン・グーチは、1918年にカナダ人実業家のジョン・ケネス・ラソン・ロスに1万ドルで売却。その後、H.G.ベドウェル調教師のもとで競走馬としてのキャリアをスタートさせました。

デビューは2歳時のトレモントステークスでしたが、6着と振るわず、その後も低迷が続きました。フューチュリティステークスでの2着が唯一の好成績で、他のレースでは大差で敗れるなど、期待外れの結果が続きました。

1919年：三冠達成の快挙

しかし、翌1919年、サーバートンは劇的な変貌を遂げます。ケンタッキーダービーでは2番人気に推されましたが、これは僚馬ビリーケリーの人気の高さが影響しており、サーバートン自身への期待はそれほど高くなかったのです。当時の欧米では馬主単位で馬券が販売されていたため、ビリーケリーとサーバートンは同一の馬券に含まれていました。サーバートンはビリーケリーのペースメーカーとしての役割が期待されていましたが、結果は誰もが驚く大逆転劇となりました。サーバートンはビリーケリーを5馬身差で圧倒し、見事初勝利を飾りました。

続くプリークネスステークスでも4馬身差、そしてベルモントステークスでも5馬身差と圧勝し、史上初となるアメリカクラシック三冠を達成しました。ただし、当時はアメリカに統一された三冠レースの体系が確立されていなかったため、サーバートンが「三冠馬」と呼ばれるようになったのは後年のことです。この年の米年度代表馬にも選出され、その偉業は広く称賛されました。

4歳時以降と引退

4歳になっても活躍は続き、サラトガハンデキャップではレコードタイムで名馬エクスターミネーターを破るなど、その強さを示しました。しかし、マンノウォーとの対戦となったケニルワースパークゴールドカップでは、マンノウォーの圧倒的な強さに屈し、7馬身差で敗れました。このレース以降、サーバートンが史上最強馬と呼ばれることはありませんでした。マンノウォーが先行し、サーバートンが追走する展開でしたが、その差は最後まで縮まりませんでした。

その後も3戦に出走しましたが、勝利することはできず、1920年に引退しました。

引退後と顕彰

引退後は種牡馬として繋養されましたが、大きな成功は収めませんでした。代表産駒としてケンタッキーオークス優勝馬のイースターストッキングが挙げられます。種牡馬を引退した後は米国陸軍の軍馬となり、1937年に死亡。ワイオミング州コンバースカウンティーのワシントンパークには、現在もサーバートンを記念する碑が建立されています。

サーバートンの功績は高く評価されており、1957年にはアメリカ競馬名誉の殿堂博物館、1976年にはカナダ競馬名誉の殿堂に選定されました。1999年にはブラッド・ホース誌の選ぶ20世紀のアメリカ名馬100選で49位にランクインしています。また、ウッドバイン競馬場には「サーバートンステークス」が設立され、ケンタッキー州レキシントンには「サーバートンウェイ」と名付けられた通りも存在します。

サーバートンは、その華麗なる競走生活とアメリカ競馬史に残る偉業によって、永遠に記憶される名馬として語り継がれることでしょう。

もう一度検索