サーペンタイン・ギャラリー

サーペンタイン・ギャラリーは、ロンドンのケンジントン・ガーデンズ内に位置する美術館で、現代美術と近代美術に特化した展示活動を行っています。このギャラリーの大きな特徴は、公的資金、宝くじ収益、企業スポンサー、そして一般からの寄付金によって運営され、入場料が無料であるという点です。これにより、より多くの人々が気軽に芸術に触れる機会を提供しています。

歴史

1970年、英国芸術評議会によって設立されたサーペンタイン・ギャラリーは、その名前を近隣にある大きな池、サーペンタイン湖に由来します。建物自体は、1934年に建てられたクラシカルなティー・パビリオンを再利用したもので、外観は当時のまま保たれています。開設当初は資金不足のため夏季のみの開館でしたが、1986年にジュリア・ペイトン・ジョーンズが館長に就任して以来、展覧会企画の充実と施設の改善に力が注がれました。1998年には、ダイアナ妃からの巨額な資金援助もあり、大規模な修繕工事が完了し、より多様な展示を受け入れることができる空間へと生まれ変わりました。

展覧会活動

サーペンタイン・ギャラリーでは、マン・レイ、ヘンリー・ムーア、マリーナ・アブラモヴィッチ、ブリジット・ライリー、シンディ・シャーマン、ペーター・フィッシュリとダヴィッド・ヴァイス、川俣正、森万里子、杉本博司など、著名な現代美術家の展覧会を開催してきました。近年では、ダミアン・ハースト、レイチェル・ホワイトリード、ダグ・エイケンといったイギリスを中心とした若い美術家による新作展や、歴史に名を残す美術家の回顧展を年間約5回開催しています。また、展覧会に関連して美術家、美術評論家、建築家による講演会を頻繁に行い、子供向けのワークショップやギャラリーツアーにも力を入れています。

夏季限定パビリオン

2000年からは毎年、ギャラリーに隣接する草地に、夏季限定の仮設カフェ兼休憩所「サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン」が設置されています。このパビリオンは、著名な現代建築家に依頼され、構造設計事務所「アラップ」との共同作業で建設されます。毎年異なる建築家がデザインを担当するため、斬新で多様な建築を楽しむことができ、夏季のロンドンの名物の一つとなっています。

以下は、過去にパビリオンを設計した建築家の一部です。

2000年: ザハ・ハディッド
2001年: ダニエル・リベスキンド
2002年: 伊東豊雄
2003年: オスカー・ニーマイヤー
2005年: アルヴァロ・シザ + エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ
2006年: レム・コールハース
2007年: オラファー・エリアソン + セシル・バルモンド + シェティル・トレーダル・トールセン（スノヘッタ）
2008年: フランク・ゲーリー
2009年: SANAA
2010年: ジャン・ヌーヴェル
2011年: ピーター・ズントー
2012年: アイ・ウェイウェイ + ヘルツォーク&ド・ムーロン
2013年: 藤本壮介
2014年: スミルハン・ラディック
2015年: セルガスカーノ (ホセ・セルガス+ルチア・カーノのユニット)
2016年: ビャルケ・インゲルス
2017年: ディエベド・フランシス・ケレ
2018年: フリーダ・エスコベド
* 2019年: 石上純也

サーペンタイン・ギャラリーは、現代美術を幅広く紹介するとともに、建築における革新的な試みを提示する場としても、国際的に高い評価を受けています。

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