ザ・レスト・オブ・ニュー・オーダー

ニュー・オーダーの1995年発表作品『ザ・レスト・オブ・ニュー・オーダー』は、同バンドのベスト・アルバムとして知られる『ザ・ベスト・オブ・ニュー・オーダー』に続く作品です。しかし、本作は前作とは異なり、オリジナル楽曲ではなく、ニュー・オーダーの楽曲を様々なアーティストがリミックスした楽曲群で構成されています。

このアルバムが制作された背景には、ニュー・オーダーを取り巻く音楽業界の状況変化が大きく影響しています。バンドが所属していたファクトリー・レコード時代は、彼らの楽曲のリミックス作品を制作・発表するには、メンバー全員の承認が不可欠でした。そのため、12インチシングルなどに収録されていたリミックスバージョンも、基本的にニュー・オーダー自身の手によって制作されていました。

しかし、ファクトリー・レコードの破産により、ニュー・オーダーはロンドンレコードに移籍することになります。そして、新たなレコード会社との契約において、ロンドンレコード側はニュー・オーダーの作品を自由にリミックスできる権利を契約に盛り込みました。この条件をニュー・オーダーが受け入れたことで、数々の著名なアーティストやリミクサー、DJたちがニュー・オーダーの楽曲に新たな解釈を加えたリミックス作品が制作されることになったのです。

『ザ・レスト・オブ・ニュー・オーダー』に収録されている楽曲は、まさにこれらのリミックス作品から厳選されたものと言えるでしょう。例えば、「ブルー・マンデー」はハードフロアによる力強いリミックス、「リグレット」はアンドリュー・ウェザーオールによる洗練されたリミックスが収録されています。他にも、シェップ・ペティボーン、パンプ・パネル、ビフ＆メンフィス、アーマン・ヴァン・ヘルデン、K-クラス、ファイアー・アイランド、ハウイ・B、フルークなど、各界を代表するリミクサーが参加し、それぞれの個性あふれるリミックスがニュー・オーダーの楽曲に新たな魅力を与えています。

各楽曲のリミックスバージョンはそれぞれ個性豊かで、オリジナルとは異なる魅力を放っています。パーフェクト・ミックスによる『ワールド』、ハードフロアによる『ブルー・マンデー』、シェップ・ペティボーンによる『トゥルー・フェイス』は特に人気が高く、映画『再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ』のサウンドトラックにも収録されています。他にも、パンプ・パネルによる『コンフュージョン』、ビフ＆メンフィスによる『タッチト・バイ・ザ・ハンド・オブ・ゴッド』、アーマン・ヴァン・ヘルデンによる『ビザール・ラヴ・トライアングル』、K-クラスによる『ルーインド・イン・ア・デイ』、ファイアー・アイランドによる『リグレット』、ハウイ・Bによる『エイジ・オブ・コンセント』、フルークによる『スプーキー』など、多彩なリミックスが収録されており、それぞれのアーティストの個性が際立っています。

なお、海外では『ブルー・マンデー』のリミックス8曲を収録したボーナスディスク付きの2枚組が限定盤として発売されましたが、日本盤ではこのボーナスディスクは付属していませんでした。

『ザ・レスト・オブ・ニュー・オーダー』は、ニュー・オーダーの代表的な楽曲を、異なる解釈とサウンドで楽しめる、まさにリミックス作品集の決定版と言えるでしょう。彼らの楽曲が持つ可能性を再認識できる、ファン必携の一枚です。オリジナルとは異なる魅力を持つリミックスの数々は、聴く者の心に新たな感動を与えてくれることでしょう。

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