シエラエンターテインメント

シエラエンターテインメント（Sierra Entertainment, Inc.）は、かつてアメリカを拠点として活動していたゲームソフト開発会社です。1979年にウィリアムズ夫妻によって「オンラインシステムズ」（On-Line Systems）として創業されました。同社は、世界初のグラフィックアドベンチャーゲーム『Mystery House』をリリースし、大きな成功を収めました。この成功を機に、翌年には近隣のシエラネバダ山脈にちなんで社名を「シエラ・オンライン」（Sierra On-Line）に変更しました。

その後、「ハイレゾアドベンチャー」と銘打ったApple II向けの数々のヒット作をリリース。これらのゲームは、スタークラフト社によって日本のパソコン各機種にも移植され、黎明期のパソコンゲームにおけるアドベンチャーゲームブームを牽引しました。1984年には、キャラクターを直接操作して謎を解くという新しいタイプのアドベンチャーゲーム『King's Quest』をIBM PC向けにリリース。この作品は7作まで続く人気シリーズとなり、同社の看板タイトルとなりました。

1980年代後半には、日本のゲームソフトを海外に紹介する役割も果たし、1989年にはゲームアーツからライセンスを受け、『テグザー』や『シルフィード』をApple IIGS用とIBM PC用に米国で販売し、ヒットさせました。また、1989年には日本法人（シエラ オンライン ジャパン）を設立し、『Police Quest II』、『Quest for Glory I』、『King's Quest V』、『Mixed-Up Mother Goose』、『Space Quest IV』、『Castle of Dr. Brain』といった作品を、日本のPC-9801やFM TOWNSといったプラットフォーム向けに移植・販売しました。

1995年頃には、パイオニア株式会社と「シエラ・パイオニア」を設立し、『ファンタズム（Phantasmagoria）』、『KING'S QUEST VI』、『EARTHSIEGE2』、『RED BARON II』などを日本語版として展開しましたが、2000年代前半には日本市場から撤退しました。2001年には社名を「シエラ・エンターテインメント」に変更し、2008年にはアクティビジョン・ブリザード社傘下となりました。これは、仏ヴィヴェンディ社と米アクティビジョン社が2007年に合併したことによるものです。

合併完了後、アクティビジョンの要求を満たさないシエラレーベルのゲームは権利移管されないことになりました。同年10月にはシエラのフォーラムサーバが停止され、『クラッシュ・バンディクー』、『スパイロ・ザ・ドラゴン』、『Prototype』など、アクティビジョンに移管されたゲームのフォーラムのみがアクティビジョンサーバに移行されました。11月には、シエラ所有のスタジオのうち、Massive EntertainmentがUBIに、Swordfishスタジオがコードマスターズに売却され、旧シエラに残された2つの開発スタジオ（High Moon StudiosとRadical Entertainment）は、現在アクティビジョン・ブリザードの傘下となっています。

2014年8月、ゲームズコムに先駆けてシエラのウェブサイトが更新され、復活が示唆されました。そして、『Geometry Wars 3: Dimensions』と『King's Quest』の新作が発表されました。しかし、公式サイトの著作権表記では、「© 2014 Activision Publishing, Inc.」「SIERRA is a trademark of Activision Publishing, Inc.」と記され、「Sierra Entertainment, Inc.」の名前は確認できませんでした。

シエラエンターテインメントは、その歴史の中で数多くの名作ゲームを世に送り出してきました。特にアドベンチャーゲームの分野では、その革新的なゲームデザインとストーリーテリングで多くのファンを魅了しました。現在はアクティビジョン・ブリザードの傘下で、インディーゲームの開発に注力しており、その遺産は今もなお、ゲーム業界に影響を与え続けています。

代表作
King's Questシリーズ
Mystery House（1979年）
Space Questシリーズ（1986年）
Police Questシリーズ（1987年）
Quest for Gloryシリーズ（1989年）
The Incredible Machine（1992年）
Phantasmagoria（1995年）
ハーフライフ（1998年）

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