シカンダル・シャー (スール朝)

シカンダル・シャーの生涯

シカンダル・シャー（Sikandar Shah）は、北インドのスール朝における第6代の君主であり、1555年にその王位に就いた。彼の生年は不詳だが、彼の治世は短期間であり、多くの戦闘と政争に彩られたものであった。

彼はラホールを治めており、かつスール朝の前君主イスラーム・シャーの娘婿であった。1554年の年末、イスラーム・シャーが死去し、その息子フィールーズ・シャーが王位を引き継ぐも、わずか一カ月後にライバルであるムハンマド・アーディル・シャーによって殺害されることとなる。この混乱の中、1555年にアーディル・シャーの義兄弟であるイブラーヒーム・シャーが反乱を起こし、アーディル・シャーの軍隊を打破、デリーを占拠した。この時、シカンダル・シャーもラホールで独立した状態にあった。

シカンダル・シャーはイブラーヒーム・シャーに対抗するためにデリーへ軍を進め、アーグラ付近でイブラーヒーム・シャーの軍隊に勝利を収め、デリーを奪還した。この時点で、彼はデリーの実質的な支配者となった。しかし、彼の治世は長くは続かなかった。

その年の2月、ムガル帝国の皇帝フマーユーンが北インドへ侵攻を開始し、すぐにラホールを制圧した。ムガル軍の進撃は続き、ディラールプルやジャーランダルなども次々と彼らの手に落ちた。シカンダル・シャーはなんとか対抗しようと、騎兵30,000を派遣したが、この軍はマッチワーラーで破れてしまった。その結果、シルヒンドが占拠されることとなる。

改めて自らしかけた司令官として出陣した彼は、8万の騎兵を率いてシルヒンドでムガル軍に立ち向かったが、1556年6月22日に再び敗北を喫し、シヴァリク丘陵へと退却を余儀なくされた。その後、ムガル軍はデリーを占領し、スール朝は事実上滅亡の道を辿ることとなる。

1556年末、シカンダル・シャーは再びムガル軍へ攻撃を仕掛けた。彼はその武将フワージャ・ヒズル・ハーンを破ったものの、摂政バイラム・ハーンが本格的に動き出し、12月7日には彼自身が皇帝アクバルを伴って出撃した。

シカンダル・シャーは再びシヴァリク丘陵に退却し、マーンコートで籠城することとなった。しかし、その城は6ヶ月間包囲され続け、1557年7月25日に降伏することになった。降伏後は、アクバルにビハールの地を与えられるが、数ヶ月後に追い出され、最終的には1559年にベンガルで亡くなった。彼の人生とその治世は、スール朝の衰退を象徴するものであった。

シカンダル・シャーの短命の治世は、歴史の流れにおいて重要な転換点を迎えた時期であり、彼の失敗は後のムガル帝国の台頭につながった。

参考文献

• - サティーシュ・チャンドラ著、小名康之・長島弘訳『中世インドの歴史』山川出版社、2001年。
• - フランシス・ロビンソン著、月森左知訳『ムガル皇帝歴代誌』創元社、2009年。

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